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□足手まとい
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今朝、高層ビルの大規模な火災の連絡が入り、ハートレンジャーは司令室に呼び出された。
千鳥さんは簡単に事故の説明をして、勢い良く手を叩いた。
「よし!それじゃあ五人で出動!…と言いたいところなんだけど。」
少し困ったような表情で私へ視線を向ける。
「あきひさんは今回ここに残って欲しいんだ。」
「え?…どうして、ですか?」
突然の言葉に私は何度か瞬きをする。
すると黒峰さんが低い声で呟いた。
「わかんねーのか?足手まといになるからだろ。」
すかさず赤木さんが黒峰さんの肩を掴む。
「おい、黒峰!」
「何だよ。事実じゃねぇか。」
私はぐっと唇を引き結んだ。
猿飛くんも困った表情で、けれど何も言わない。
黒峰さんが言っている事は正しい。
…でも、悔しい。
鼻の奥がつんと痛くなる。
「泣いたってどうしようもないだろ。」
「泣いてません!」
ぎゅっと目を閉じると、涙が溢れた。
泣くのはずるい、と解っているのに。
こんな姿、誰にも見られたくない。
静まり返った部屋に青山さんの声が響く。
「もういい、時間が無い。急ごう。」
その言葉に我に返った赤木さんが部屋を出る。
黒峰さんと猿飛くんも居なくなり、最後に青山さんが出て行く時に、ちらっとこちらを見た。
私は何とか声を絞り出した。
「…待ってます。」
「ああ。」
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