□離れたくないもん
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昼過ぎ、長官室に青山さんが訪ねて来た。

「お!玲士、どうしたんだい?」

千鳥さんは嬉しそうだった。青山さんの事が結構好きみたいだ。
書類を何枚か落としたのにも気付かない。
私は書類を拾って再び机に置いた。
青山さんはちらっと私へ視線を向ける。

「彼女を少し貸して欲しいんだが。」
「え…私ですか?」
「ああ、君のハートエナジーの基本的な数値を…」

と、話を遮るように千鳥さんは立ち上がる。

「駄目駄目!いくら玲士の頼みでも、それは聞けないよ。」

すると青山さんは少しムッとした顔で言った。

「…だから直接頼みに来たんだ。お前が彼女を大切にしているのは知っている。電話じゃ失礼かと思ったからな。」

千鳥さんは唸り声を上げて悩んでいる。
最近、子供みたいな人だなぁと思う。
私は千鳥さんの腕に触れた。

「すぐに戻りますから。」
「すぐに終わる。」

青山さんがそう言うと、千鳥さんは青山さんの肩を掴んだ。

「わかった、ただ…」

千鳥さんの目はマジだった。

「15時のおやつの後にして欲しい。」

私は壁に掛けられた時計を見上げる。
時刻は14時45分。もうすぐおやつの時間だ。
青山さんは珍しく優しい微笑みを浮かべた。

「悪いが聞けないな、すぐ終わる。」

そして私の肩に手を添え、入口へと促す。
千鳥さんにも思い通りに行かない事があるんだ。




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