□好きな人
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夜中に目が覚めてしまった。

…暑い。

ゆっくりと体を起こし、ベッドの上に座る。
もうそろそろ毛布はいらないかな。
隣で寝ていた千鳥さんがもぞもぞと動き、細く目を開けた。

「…怖い夢でも見た?」
「暑くて…。すいません、起こしてしまって。」

千鳥さんは自分の横をぽんぽんと叩くので、私は再び横になった。
大きな手の平が額に触れると、千鳥さんは大きく目を開いた。

「熱いのはあきひさんだよ!熱があるじゃないか!」
「…え?」

「だるくない?」
「眠いからだと…。」

「寒気は?」
「汗が冷えて少し、」

千鳥さんは素早く起き上がり、丁寧に布団を被せてくれた。

「医務室に電話しよう、誰か居るといいけど…。」
「千鳥さん!大丈夫です、まだ夜中ですし…。緊急事態って程でもありませんから。」
「しかし、」

私はベッドから降りようとした千鳥さんの袖を掴んだ。

「行かないでください…。」

確かに熱があるのかもしれない…、涙が出そう。
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