2
□異常な速さ
1ページ/2ページ
朝、目覚ましの音が聞こえると必ず千鳥さんがそれを止める。
そして私が目を覚ますまで見張っているから、私はすぐに起きるようにしている。
始業の一時間前には自分の部屋に戻り、身仕度をしてから長官室へ出勤する。
なのでその一時間前、…始業の二時間前に目覚ましをセットし、一時間は千鳥さんと過ごす。
何をする訳でもない。
ベッドの中で他愛の無い話をして、当たり障りの無い話をして…。
ふと時計を見上げると部屋に戻る時間になっていた。
「そろそろ着替えてきますね。」
私がそう言って上半身を起こすと、素早く手首を掴まれた。
大きな手だと思った。
「千鳥さん?」
「もう少しだけ…。」
眠そうな顔でそんな事を言われたら、その腕を振り払うなんて出来ない。
私は顔を背けた。
「…遅刻しちゃいますよ。」
「いつも皆勤賞だから、大目に見てあげるよ。」
そしてベッドに引きずり込まれた。