□緊急事態
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おやつの時間が終わると、千鳥さんは研究室に引き篭もってしまった。
夕方には戻ると言っていたのに、一時間程すると内線が掛かってきた。

「はい。」
『あきひさん!?今からそっちに行くから待ってて!!』
「え、千鳥さん?」

しかし電話は切れていた。
どうしたんだろう。何かあったのかな?
少し不安になりながらも千鳥さんが戻ってくるのを待つ。

研究室は離れた場所にあるので時間が掛かる筈。
それなのに、次の瞬間には勢いよく扉が開き、息を切らした千鳥さんがやってきた。

「千鳥さん、どうしたんですか?」

けれど私の質問には答えず、走ってくると私を抱き締め上げた。

「ち、」
「これこれ!…あ〜、会いたかったよ〜!」

扉は開きっぱなしだし、恥ずかしいし、苦しいし。

「千鳥さん、あの、」

顔を胸に押しつけたまま言葉を発すると、やっと放してくれた。
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