メノス

□アンバランス
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ゼータが私の部屋に現れた恐怖の夜が明け、誰にどう説明するべきか悩みながら廊下を歩いていた。
誰にも言うな、とは言われていないけど…どうしよう。
すると曲がり角から九楽さんが現れた。
大きな荷物を抱えて。

「おはようございます、九楽さん!…お手伝いしましょうか?」

「おはようございます…いえ、大丈夫ですよ。」

にっこり微笑んでいる…が、かなり大きな椅子を抱えている。
社長室に置いてあるような渋い革張りの、アンティーク的な椅子。
…あ、これが洒落た椅子ね。
ゼータのセリフが蘇る。

「あの、これどこへ運ぶんですか?」
「倉庫の奥から出てきたのですが…残念ながら処分する為に格納庫へ運ぶところですよ。」

「…譲ってもらえませんか?」

私の言葉に九楽さんは目を丸くした。
そりゃそうだよね…。

「構いませんが…大村君の部屋に置くんですか?」
「はい…そうなりますね。」

絶対怪しまれてるよね。

「これに座って本でも読んだら…いい感じかなぁ、って…。」

あはは、と乾いた笑いにつられて九楽さんも笑顔になった。

「わかりました。確かにこの椅子は何か惹かれる所がありますからね。」

……怪しまれてない、かな?




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