□おねだり
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今朝は天気が良かったので、屋上で朝ごはんを食べることにした。
食堂で買ったホットドックを持って、千鳥さんと二人で屋上へ向かう。
昼間は暑いけど、朝は涼しい。
それに人も少なかった。

ベンチに座りながら食後のコーヒーを飲んでぼーっとしていると、千鳥さんが小さな唸り声を洩らす。

「うーん…。」
「どうしたんですか?」

隣の顔を見上げると困った表情で目を閉じていた。

「…左手が寂しいなぁ。」

そう言って、ヒラヒラと左手を揺らしている。
私はそっとソレを右手で掴んだ。
千鳥さんはニコニコしている。

「……これで良かったんですか?」
「さすがあきひさんは優秀な助手だね。」

良かったらしい。
…何だかカワイイ、かも。
繋いだ手を握ったり離したりしながら、また黙り込む。
今日も暑くなるのかな、なんて考えていると千鳥さんが再び唸っている。

「んー…。」
「今度は何ですか?」
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