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□過保護
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「痛っ!」
私の声に千鳥さんが素早く顔を上げた。
「どうしたの?」
書類を片付けていたら、…紙で指を切ってしまった。
じっと指を見つめている私を見てそれを察した千鳥さんは、小さな傷で安心したのか少し笑っていた。
「痛いでしょ?…ちょっとおいで。」
…笑われた。
でも地味に痛い。
私が近づくと、机の引き出しを開けて何かを探している。
取り出したのは絆創膏。
「…すぐ治りますよ。」
そんな大袈裟な。
「バイ菌が入ったら大変だからね。」
優しい申し出に、絆創膏を受け取ろうとすると千鳥さんは首を横に振った。
「指、出して。」
「じ、自分で出来ますよ…。」
…恥ずかし過ぎる。
しかし私の手を取り微笑んだ。
「いいから。…やらせて欲しいんだ。」
大きな手が器用に絆創膏を貼ってくれる。