□過保護
1ページ/2ページ

「痛っ!」

私の声に千鳥さんが素早く顔を上げた。

「どうしたの?」

書類を片付けていたら、…紙で指を切ってしまった。
じっと指を見つめている私を見てそれを察した千鳥さんは、小さな傷で安心したのか少し笑っていた。

「痛いでしょ?…ちょっとおいで。」

…笑われた。
でも地味に痛い。
私が近づくと、机の引き出しを開けて何かを探している。
取り出したのは絆創膏。

「…すぐ治りますよ。」

そんな大袈裟な。

「バイ菌が入ったら大変だからね。」

優しい申し出に、絆創膏を受け取ろうとすると千鳥さんは首を横に振った。

「指、出して。」
「じ、自分で出来ますよ…。」

…恥ずかし過ぎる。
しかし私の手を取り微笑んだ。

「いいから。…やらせて欲しいんだ。」

大きな手が器用に絆創膏を貼ってくれる。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ