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□意気地無し
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寝室へ入ると、照明は点いたままなのに千鳥さんは既にベッドで横になっていた。
近づいても反応は無い。
仰向けで…、浴衣は着てるけど髪は濡れたまま。
お風呂から出て、そのままベッドで力尽きたらしい。
…起こした方がいいかな。髪、乾かした方がいいよね。
気持ち良さそうな寝顔を見ていたら、起こしてしまうのが可哀相な気もする。
そっと指で千鳥さんの頬をつついてみた。
「……ううん…。」
眉を寄せて首を振る。
起きないなぁ…。
私は身を乗り出し、ゆっくりと顔を近付けた。
寝込みを襲うなんて我ながら情けない。
でも…千鳥さんが起きてる時には絶対に出来ないし…。
軽く、キスを落とした。
その瞬間、千鳥さんの目が真ん丸に開く。
「な…、」
素早く顔を上げた私の腕を掴み、千鳥さんは上半身を起こした。
私は思わず空いてる方の手で顔を隠す。
「…い、今のは忘れてくださいっ!!」
しかし捕まった腕を引かれ、その胸に額をぶつけた。
「どうして?」
耳元で囁くのは…止めて。