□予定なし
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司令室から長官室へ戻る途中。
廊下の曲がり角から現れた姿に思わず声を出してしまった。

「あ、黒峰さん。」

サングラスの奥で目を細めた黒峰さんはニヤリと笑う。

「おお。どうした、お前もこれから出勤か?」
「黒峰さんと一緒にしないでください!!私は朝から働いてます!!」

もう既にお昼は回っている。
歩き続ける黒峰さんに追いつき、並んで歩く。

「なんだよ、真面目だな。」
「普通です。」

そして何故か長官室の前で足を止めた。
私の不思議そうな顔を見て黒峰さんはため息をつく。

「…長官に用があるんだよ。さっさと開けろ。」

なんで自分で開けないんだろう…。
私は扉を開け、長官室に入る。

「あきひさん、おかえり〜。…あれ?」

千鳥さんは珍しいお客さんに首を傾げた。

「長官、頼みがある。」

そう言いながら黒峰さんは私を押し退け、千鳥さんのデスクの前に立つ。

「なんだい?」

「夏休みをくれ。」

え?
私は思わず黒峰さんを見つめる。

「うん、いいよ。いつからにする?」

えぇっ!?

「明日から一週間。」
「明日からね…、構わないよ。」

千鳥さんの返事を聞いて、黒峰さんは私を見下ろす。

「という訳だ。くれぐれもつまんねー呼び出しはするなよ。」

そう言い捨てて、部屋を出て行ってしまった。




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