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□ぽかぽか
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今日は研究室に籠る予定の千鳥さんに呼び出され、私はおやつを持って研究室へやってきた。
部屋に入ると、やけに寒い。
それに照明も薄暗く、大きな窓は全て斜光カーテンが閉まっている。
「千鳥さーん…、あれ?」
ぼんやりと点いているライトの先で、カーテンがもぞもぞ動いている。
私はそこへ近づき、カーテンに触れる。
「失礼します。」
そしてそっと中を覗いてみると、カーテンと窓の間で立って書類を読んでいる千鳥さんが居た。
私に気づいて顔を上げる。
「ん、あきひさん、急に呼び出してしまってごめんね。」
「千鳥さん…何してるんですか?」
「部屋が寒いからここで温まってるんだよ。」
「エアコンは…、」
「データを取るためにつけてないんだ。」
「…大変ですね。」
「そうでもないよ。」
千鳥さんはにっこり微笑んで、私を中へ促す。
「わ、温かいですね!」
「でしょ?」
心地よい温かさで、なんだか眠くなりそう。
「でも、こうするともっと温かい。」
そう言うと後ろから腕を回され、抱きしめられてしまった。
…確かに温かい、けど!
「ち、千鳥さん…!」
誰か入ってきたら恥ずかし過ぎる!!
しかし千鳥さんは肩越しに私の顔を覗きこんだ。