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□いつもの癖で
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「あ、しまった!」
私は長官室まで押して戻ってきたカートの中を漁る。
千鳥さんは不思議そうな顔でこちらを見ていた。
そして私が手にしたファイルを見て笑っている。
「いいよ、また後でも。」
それは千鳥さんに頼まれた、青山さんに渡すファイル。
カートの中に入っている他のファイルは図書室から長官室へ持ってくるように言われたけれど、この一冊だけはその足で青山さんに届けるように頼まれた。
「すいません…すぐに行ってきます。」
私が情けなさ全開でそう言うと、千鳥さんは立ち上がった。
「だ、大丈夫大丈夫…後で僕が持って行くから…。」
何故か焦っている。
何だろう…怪しいファイルなのかな…。
「でも、」
「いいからいいから…さ、それを僕に、」
「…怪しいですよ。」
千鳥さんの動きがピタリと止まる。
「私が持って行くのは…マズイんですか?」
「…いつもの癖で…君に頼むべきじゃなかったんだ。僕は後悔しているんだよ。」
「どうしたんですか?」
すると千鳥さんは立ち上がり、私の目の前へやってきた。
「…最近、玲士がよくかばってくれるでしょ?」
「最近…?あ、そうですね…。」
確かに青山さんはジェームズさんとの戦いで味方してくれる。
あれ、もしかして。
「千鳥さん…。」
「…その先は言わないでね。」