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□負けられない戦い
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「千鳥さんと、ジェームズさんが明日から出張!?」
私の大きな声がロビーに響き渡り、神谷さんは慌てて人差し指を口元に当てた。
「ちょっと、声が大き過ぎるわよ!」
「す、すいません…。」
「…まぁ、極秘事項でも何でもないんだけどね。」
ノリよ、と神谷さんは笑っている。
しかし私は一人、笑えない。
「…初めて聞きました。」
「そうでしょうね。千鳥長官…色々ゴネてるみたいだし。あきひちゃんには言いたくないだろうし。」
「そういう事はちゃんと言って欲しいです!」
「だからこうして教えてあげたんじゃない。」
神谷さんは首を傾げた。
「…どうしたの?何かあった?」
「い、いえ…何も…。」
私は壁に掛かっている時計へ視線を向けた。
「私、そろそろ行きますね。…わざわざありがとうございました。」
「お礼を言われるような事じゃないけど。」
神谷さんは納得できていない表情で私を睨む。
「…皆、あきひちゃんの味方よ。誰でもいいから頼ってみたら?」
「…考えときます。」
そそくさとその場を後にする。
…千鳥さんとジェームズさんが、出張。
大きな溜息をついたのをしっかり神谷さんに見られていた。
長官室に戻っても誰も居なかった。
千鳥さん、どこに行ったんだろう?何か作ってるのかな?
まだお昼だし、さっきまでは元気に仕事をしていたのを知っているので、とりあえず自分の仕事を片付ける事にした。
…昨日もしっかり寝てたし、どこかで倒れてるって訳でもないよね。