3
□出せなかった手紙
1ページ/5ページ
長官室に突然現れたのは青山さんだった。
千鳥さんは素早く立ち上がる。
「今日は忙しいから駄目だよ!」
しかし青山さんは首を横に振る。
「大村に手伝ってもらう仕事は無い。」
そう言ってポケットから一枚の紙を取り出して、千鳥さんに見せる。
「心当たりは無いか?…手紙のようだが。」
ぺらっと開いて見せられた。
花柄の便箋に英語でずらずらと文字が書かれている。
…花柄?
「僕に?何て書いてあるんだい?」
首を傾げる千鳥さんの顔を、青山さんはちらっと見て、便箋に目を通す。
「…愛しの千鳥長官。」
「…!?」
長官室に緊張が走る。
「貴方はまだ覚えていますか?あの頃の貴方は、泣いてばかりだった私に優しく声を掛けてくれましたね。たとえ身も心も離れてしまっても、」
それを遮って千鳥さんが叫んだ。
「ストップ!!玲士、あきひさんの顔を見てごらん!!」
「ん?」
青山さんは私の顔を見つめる。
「どうした、怪人Xのような顔になっているぞ。」
「…そんなに白いですか。美白効果のある高い化粧水を使ってるんですよ。」
私はそう言って立ち上がった。