□暖かくなってきた事ですし
1ページ/2ページ

今日のおやつは頂き物の桜餅。
緑茶と一緒にテーブルに並べると、千鳥さんは興奮していた。

「春だねぇ〜。」
「まだ桜は咲いてませんけど…気分だけでも。」

私は桜餅のお皿の横に、桜のポストカードを添えた。

「なかなか粋な事をするね。」

千鳥さんはニコニコしている。

「あのね、一つ聞いておきたい事があるんだけど…。」

笑顔のまま、隣に座る千鳥さんは顔を近づけてきた。

「あきひさんは、僕の事をどう思ってるの?」
「はい!?」

…また唐突だな。
黙りこむ私の顔を、千鳥さんがじっと見つめている。

「えっと…、私の気持ちは変わってませんけど。」
「言葉にして欲しい時もあるんだよ。」

優しく諭すように言われた。
私は何度か頷く。

「そうですよね、…解ります。」

では、と桜餅に手を伸ばす。
その手を掴まれた。

「…言えたら、抱きしめてあげるよ!」

う…。
そんな言い方はずるい。いつもながら。
私はソファーの上で、向き合うように座りなおした。
…よし、言おう。
目の前の嬉しそうな顔した千鳥さんを見据え、勇気を出して言った。

「だ、…大好き、」

しかし言い終わる前に抱きしめられてしまった。
…何故…?
千鳥さんは耳元で囁く。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ