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□どうして
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「青山さん…。」
私はゆっくりと手を伸ばし、その指先は机の上にある大きな手に触れた。
「言えないのなら…、」
青山さんは立ち上がり、私の腕を掴むと素早く引いた。
次の瞬間、すっぽりと抱きしめられていた。
「今、ここで好きなだけ泣けばいい。つらくなったら、俺を呼べばいい。」
「…でも、」
「俺の知らない所で君が泣いているのかと思うと……胸が締め付けられるようだ。」
私は身じろぎし、青山さんの顔を見上げた。
「…青山さんは、どうしてそんなに…優しくするんですか…?」
すると、青山さんは微笑み、そっと頭を撫でてくれた。
「……どうしてだと思う?」
「え、っと…。」
「正義のヒーローだからですか?」
「どうしてそうなるんだ。」
呆れたようにそう言うと、もう何も教えてくれなかった。
オワリ.