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□クリスマスの景色
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緊張して顔が見られない。
…意識してるのは私だけ?
何を話せばいいのか解らない。
そっと九楽さんの顔を見上げると、笑ってくれた。
「今日は何の日か…勿論知っていますよね?」
「クリスマス、イブです…。」
「今夜はどんな願い事も叶うんですよ。」
…そんな話、初めて聞いた。
願い事、か。
「…九楽さんは、願い事…叶いましたか?」
「ええ、…たった今、叶ったところです。」
「……私も、です。」
それっきり何も言わなかった。
その後、私が大きなくしゃみをするまで、私たちはクリスマスの雪景色を眺めていた。
隣に大切な人の体温を感じながら。
オワリ.