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□不機嫌
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「…どうしたんですか?」
「お前には関係無い。」
そして本当に読んでくれている。
その横顔を私はじっと見つめた。
「どうして、こんな所に座ってたんですか?」
「……さあな。」
すると、バシッと書類で肩を叩かれた。
「読んだ。」
…速っ!!
「どうですか?」
「どう、って…普通だな。可も無く不可も無く。」
私は黒峰さんの顔を覗きこんだ。
「あの、」
「あ?」
「寂しかったんですか?」
けれど黒峰さんは何も答えない。
否定もしない。
「どうして寂しい時に一人になるんですか?…いつも無断で私の部屋に来るじゃないですか。寂しい時こそ、私を呼びつければいいのに。」
変な人だとは思っていたけれど、ここまでおかしいとは思わなかった。
しかし、黒峰さんの返事は私が想像していたどんな答えとも違った。
「…お前と居ると、寂しくなるんだよ。」
今度は私が黙る番だった。
「それなのにお前はどんどん近づいてくる。…少しは離れろ。」
黒峰さんは少し笑った。
「…それが出来ないなら…、二度と離れられねぇようにしてやるよ。」
「…言ってる事がめちゃくちゃです…。」
私は黒峰さんを睨む。
「それに、私は黒峰さんに近づいてません。」
「近い。」
そう言って、黒峰さんと私の肩がぶつかっているのを指差した。
私は慌てて距離を取る。
「黒峰さんが、寂しいオーラを出してるからじゃないですか!心配したんですよ!」
「俺のせいか…。」
黒峰さんは突然立ち上がった。
「…俺は、寂しくてお前を抱くなんて事はしない。」
「……はい?」
「お前が抱いて欲しそうな顔をしてるからだろ。」
「し、してません!!」
しかし黒峰さんは何も言い返さずに格納庫を出て行ってしまった。
オワリ.