番外編

□結果的にバレンタイン
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バレンタインって言ったら赤だよね。
あ、でもこっちの青いのもいいかも…。
結局その二つを買って、デパートの外に出た。


デパートの前にある横断歩道で大勢の人と信号待ちをしていると、目の前に見覚えのある後ろ姿があった。
そーっと移動して、覗き込んでみると…よく知った顔と目が合ってしまった。

「…なっ!?ハートピンク!?」
「ダーク!何してるの、こんな所で…。」

私はダークの隣に並ぶ。
ちょっと困った顔でダークは言った。

「何って…そこのデパートに行ってたんや。新しいシャツでも買おうかと思ってな。」

…案外普通の生活を送ってるよね。
でも悪い事をしてた訳じゃ無かったんだ。
少しほっとした。

「私も今出てきたところだよ。全然気がつかなかった!」

そう言うとダークはにこっと笑った。

「そんなもんや。目当ての物はあったんか?」
「んー、お目当ての物ではないけど…、」

はっ!

自分へバレンタインのチョコレートを買ったなんて…そんな虚しい事、言えない!
しかも二つも!!

ダークは不思議そうに私を見つめる。

「なんや?」
「え、えっと…、」

もじもじと紙袋を後ろに隠す。
別に恥ずかしい事じゃ無いんだけど…でも、やっぱり、私…一応女だし…。
あ、そうだ!

「ダーク、これあげる!」

私は紙袋から赤い缶のチョコレートを取り出した。

「…へ?」

「二つ買ったから…あの、自分で食べようと思って…。でも、誰にも言わないで!!」
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