□意気地無し
2ページ/2ページ


「じゃあ…忘れなくていいので…、何も聞かないで下さい…。」
「え…それはズルいなぁ。」

楽しそうな千鳥さん。

「…もう一度してくれるなら何も聞かないよ。」

えっ!!?
思わず私は顔を上げた。

「勿論、ココにね。」

そして自分の唇を指差す。
どうしてこんな事に…。
無い知恵を振り絞って考える。

「…目を…閉じて下さい…。」

私がそう言うと、千鳥さんは嬉しそうに目を閉じた。

次の瞬間、逃げ出そうとした私の体に腕を回し、力いっぱい抱き着いてきた。

「ち、千鳥さんっ!離して下さい!」
「目は閉じるけど、離すなんて言ってないよ。」

そして、じっと私の顔を見つめる。

「あれ、あきひさん…涙が…。」
「…千鳥さんのせいですっ!!」

涙目になってしまった顔を見られないように、素早く千鳥さんの肩にしがみついた。









オワリ.
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ