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□意気地無し
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「じゃあ…忘れなくていいので…、何も聞かないで下さい…。」
「え…それはズルいなぁ。」
楽しそうな千鳥さん。
「…もう一度してくれるなら何も聞かないよ。」
えっ!!?
思わず私は顔を上げた。
「勿論、ココにね。」
そして自分の唇を指差す。
どうしてこんな事に…。
無い知恵を振り絞って考える。
「…目を…閉じて下さい…。」
私がそう言うと、千鳥さんは嬉しそうに目を閉じた。
次の瞬間、逃げ出そうとした私の体に腕を回し、力いっぱい抱き着いてきた。
「ち、千鳥さんっ!離して下さい!」
「目は閉じるけど、離すなんて言ってないよ。」
そして、じっと私の顔を見つめる。
「あれ、あきひさん…涙が…。」
「…千鳥さんのせいですっ!!」
涙目になってしまった顔を見られないように、素早く千鳥さんの肩にしがみついた。
オワリ.