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□行かない
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「あきひさんは仕事の心配なんてしなくていいんだからね。たまには羽根を伸ばすといい。」
その言い方がイヤミっぽくは無いから、ますます訳がわからない。
皆でプール…行きたいけど…。
「…千鳥さんが行かないなら…、私も行きません。」
「どうして?」
「どうしてって…。いいんです、行きません。」
申し訳無い、とか…そういう気持ちもあるけど…。
どうもしっくりこない、というか…。
すると千鳥さんはそっと顔を近づけてきた。
「…僕から離れられないでしょ?」
小声でそう言うとにっこり笑った。
私は反射的に視線を逸らす。
「ち、千鳥さんだって、…一人になるのは嫌なんじゃないですか?」
ポンポンと私の頭を撫でて千鳥さんは言った。
「勿論。僕が残るのにあきひさんだけ行かせるなんて事はしないよ!」
「…お言葉に甘えてプールに行ってきますね。」
口を尖らせてそう答えると、まるで無理だと言うように千鳥さんは小さく笑い声を漏らした。
オワリ.