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□彩り王子
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千鳥さんはにっこり笑った。
「うん、いいよ!楽しんでおいで!」
ゼロくんは少し嬉しそうに微笑んだ。
「よかったね、ゼロくん!」
「うん。…美術館、楽しみ。すぐに黒峰氏からマナーを教わらないと。」
え…。
ゼロくんは九楽さんの手を引き歩き出す。
「では、後の事は宜しくお願いします。」
九楽さんは小さく頭を下げてゼロくんと行ってしまった。
…黒峰さんは一応すごい家柄だしな…ちゃんと教えてくれるかはわからないけど。
私の微妙な顔を見て千鳥さんは笑っている。
「継なら大丈夫。…Jガーディアンズでは学べない事を美術館で感じてきてくれるといいね。」
「そうですね。」
千鳥さんは目を伏せ、最後のベーコンエッグを口に運ぶ。
「素敵な出会いはどこで訪れるかわからないからね、…僕とあきひさんみたいに。」
「……そうですね。」
突然何を言い出すんだろう…。
ニコニコしているであろう千鳥さんの顔を見る事が出来ず、私はうつむいたままコーヒーを啜った。
オワリ.