記憶

□頭を働かせるのに必要なもの
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頭を働かせるのに必要なもの





テスト前、廊下にて



「あれーブン太、何してんの?」

ガサゴソと下をうつむいているブン太に近寄り覗き込むとブン太が顔を上げた。
その手(と口)には大量のお菓子。
モフモフとブン太が口にくわえたお菓子が口の中に消えていく。

「見りゃわかんだろ。菓子食ってんの」

「アンタ、これから試合前な訳じゃないんだから太るよ?」

また一口お菓子にかじりついたブン太を冷めた目で見る。
そんな私を見返してブン太がフフンッと笑う。


「バカだなー糖分取んなきゃ頭はたらかねぇだろぃ?
糖分補給は大事だぜぇ」

えっへん、とさも偉そうに胸を張るブン太。

いや、威張るのはかまわんがね、口元にお菓子のカスなんかがついてるとただの食いしん坊の幼稚園児に見えてくるから。

「あーまぁ、確かにそうだけどさ」
「んぁ?何?」


あー、と言いながら髪を掻きあげる。
まるでハムスターのように頬にお菓子が詰まってるくせにさらに口に菓子を押し込みつつブン太が首をかしげる。


「アンタの場合食べ過ぎ。
どうせそんなに頭使わず終わるんだろうから、無駄な糖分摂取じゃない?」


はたしてテスト開始から20分も時間を使うんだろうか、コイツは。
いや、それぐらいは使うかもしれないけど、ほぼ白紙じゃないの?
ああ、それでいてテスト用紙は落書きでいっぱいな気がする。



「んな!!お前にだけは言われたくねぇよ!!」


憤慨したように叫んだブン太(口から菓子出た!止めろ!)
てか、俺君よりはまだマシな成績なんですが!?


(似たり寄ったりだろい!!)
(遥かにマシな成績だから!)



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