●starry sky

□守りたい訳
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「すずちゃ…お母さ…」
「泣くなよ、俺がいるだろっ」
「かなちゃん…」
小さい頃、3人で遊んでいた時に俺とあいつだけどういうわけか皆とはぐれたことがあった。
今思えばたった少し距離が離れただけだったかもしれないけど、あの頃の俺たちは怖くて不安で…
そして、あいつが泣き出した。
泣くなよ。
俺だって怖いんだ、不安なんだ。錫也に会いたいんだ。
でも、
俺が泣くとこいつはもっと不安になるから。
泣き顔なんて見たくない。
「泣くなよ」
もう一度吐き捨てるように俺は言うとあいつの手をぎゅっと握った。びっくりしたのかちょっと目を見開いた後、
「かなちゃん、ありがとう」
涙の残る顔で、笑った。
今度は俺が目を見開く番だった。この笑顔があまりにもこいつに似合っていたから。

だから俺はこいつを守りたいって思ったんだ。


……
…………
「朝、か」
ここは魚座寮の俺の部屋、
ベッドの上。
懐かしい夢を見たもんだ。
あの後は意外とすんなりと錫也に会えたんだっけな。
ふっと笑うと枕元から携帯の着信音。
錫也からのモーニングコールだ。俺は携帯に手をのばした。


守りたい訳
―――――――――――――――
「あれ、哉太?起きてるなんて珍しいな。何か良い夢でもみたのか??」
「うっせぇ、俺だって早く起きれるんだよ」
昔の夢を見て目覚めが良いんだ…なんて誰が言うか、バカ。


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