複数校バトテニⅠ
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side.越前
バスは緩やかにカーブを切った。
《この先芦原森》と書かれた看板が目に入る。
――さっきからずっと木ばっかだったじゃん
なんて思っていると、桃先輩が前の席から顔を覗かせる。ニヤつき顔がなんかムカつく。
「なんだ越前。そんなしかめっ面してちゃいけねーな。いけねーよ。」
と、俺の帽子を奪い、クルクルと指で回しはじめた。
「そんなこと言ったて、さっきからずっと同じ景色じゃないっスか。
それに、皆ほとんど寝ちゃってるし……俺の列なんか全滅だし。
て、いつまで回してんスか！」
桃先輩から帽子を奪い返し、隣を見た。
俺の隣では竜崎と小坂田がすぅすぅと寝息をたてている。
俺は、相変わらず森ばかりの外を見るとため息を吐いた。