黒薔薇代わりのキンセンカ

□足しても引いても
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「悟浄!なんだよ今の音!って何抱きついてんだよ!!」




悟空がどたどたとリビングから現れる。





「悟浄、久々の再会はそこまでにしてとりあえず片づけるので移動してください。」





「あ、わりぃ。」




急に離れたと思うと今度はリビングまで引っ張られる。

今日は本当に引っ張れてばっかだ。

床のガラスの破片をよけながら足を進める。


廊下側からは掃除機の音が聞こえる。
八戒が掃除を始めたようだ。


「悟空!なんで晶の事教えてくれねぇんだよ!」





「俺には、わかんねぇ。」


開いていた手に力を入れて拳を作りその場で何かに耐えるような表情をする悟空。




「はぁ!?何言ってんだよ?」





「俺には、晶の記憶がねぇんだよ!」




そんな泣きそうな表情作らないで悟空。
貴方には笑顔でいてほしいのに。





「・・・・なんだよそれ。」





「・・・・・・」




「一緒にたびしてたじゃねえか!なんで覚えてないんだよ。」




『もういいから!もういいの。』





「だがなっ『私がいると喧嘩になるなら私帰る。』





「晶?」




『じゃあね、悟空、悟浄。』




「晶?」


掃除を終わったのか八戒がリビングに現れる。
さっきの会話が聞こえてなかったみたいで首を傾げてる。





『八戒ごめんね。私帰るわ。』





「ちょっと待ってください!どういうことですか?」





「もう喧嘩しねぇから!!」



「そうだよ!晶が帰る意味が分かんねぇよ!」





悟空と悟浄も必死に止めてくるが、この二人が衝突し始めたのが私の性なら私が帰るべきだと思うんだけど。





『・・・・・・・。』







「悟浄も悟空もそう言ってるんですから・・・・晶。」






『・・・・分かった。』



渋々テーブルの場所に腰を下ろす。



はぁ、とため息をついた悟空と悟浄を横目で見て私もため息をつく。





「さっ、ご飯の準備しますよ!手伝ってくださいね!」




「おう!」




悟空が元気よく立ち上がる。


私の手伝おうとしたけど、八戒にお客さんなんでいいですと言われ、そのままリビングに戻る。





「・・・・・三蔵に彼女居る事知ってるんだろ?」


すこし言いにくそうに言う悟浄に、知ってると返す。



悟浄には前世で恋愛相談をしたわけではないけど、恋愛に鋭い彼には三蔵が好きだって分かられていた。
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