貴方といると不幸になる
□幼馴染の憂鬱
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『ねー精ちゃん。あそぼぉー!』
瑠伽と出会ったのは保育園頃らしい。
いや、家が建って、俺が生まれてからはもういたらしい。
物心ついたらもう瑠伽といた。
最初は自分の兄弟かと思うぐらいに一緒に居た。
隣同士では以上に仲がいい、瑠伽と俺の両親。
だから、一緒に旅行だなんて、何度も言ったさ。
小学校の頃、テニスを始めたあたりに、おもしろくて、テニスクラブに瑠伽を何度も誘ったが、
『やだ。』
の一点張りだった。
それでも、俺がテニスクラブから帰ってくると、俺の家の部屋で勝手に遊んでたりと、待っててくれることが多かった。
『遅いよ、精ちゃん。』
「ごめんね。瑠伽」
思春期になったあたりでは、友達には付き合ってるのと言われるのが多かったが、そうではない、この感情は家族みたいなものだからと二人して言ってたのを覚えている。
だけど、いつからだろう。
彼女を、家族としてではなく普通の女の子として意識した。
キスしたいな、とか思ったり、思春期だったからだろうか。
中学になると、瑠伽は一気に大人びたらしい。
周りからも綺麗と言われるほどのスタイル。
俺はずっと一緒に居たからどう変わったかなんて分からないけど、周りから言われるならそうなんだろう。
だけど、それが不愉快だった。
誰も見るな。瑠伽は俺だけ一緒に居ればいいんだよ。
彼女の隣を歩こうとする男子。
おい、メアド聞いて来いよと集まって彼女を見る男共も。
すべて消したくなった。
嫉妬、独占欲。
その頃から、俺もなぜかモテ始めた。
きゃーきゃーと、俺を見ればすぐに発狂する女共。
その高音がうるさくて、
『精ちゃん!』
そう呼ぶ瑠伽の声が聴きたくて。
でも、彼女は人一倍怖がりだから、一人が怖いから俺の事を中学に上がった瞬間に
『精市』
と呼ぶようになった。
といっても、彼女は小学校まではほぼ一緒に登校して帰宅していたのに。
それすらもしなくなり廊下ですれ違っても目をそらすことが増えていった。