黒薔薇代わりのキンセンカ
□長らくの終焉
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ねぇ、そこの貴方。
”生まれ変わり”って信じます?
第一話【長らくの終焉】
『三蔵!!!』
叫んだ時には遅かった。
もうすぐで牛魔王を阻止できるところまで来たんだ。
5人で笑い合って旅してきて。
もうすぐ、終わる。
終止符を打って、また通常の生活に戻れるって。
たのしかったなぁ、とかもういっぱい飯食えなくなるのかよとか悲しくなったり。
「ジープもお疲れ様でした。」
「つか、家に帰るにもまた戻らなきゃいけないわけ?」
とか悩んだり、めんどくせーって思ってまた笑ったり。
『悟浄!!!八戒!!悟空!!!』
なん・・・・で・・・・?
人はあっけなく終わることを望むか?
人は何を思い死ぬ?
それすらも考えさせてくれない場合は・・・?
グシャッ!!!
背中から、心臓に圧迫感。
下を見ると、ナイフで刺されていた。
『がっはぁっ!!』
意識が朦朧とする中、仲間の混ざり合った血を眺める
こんなに・・・頑張って・・旅してきたのに・・・
どうして、幸せになれない?
一人が欠けても、取り戻してまた絆が深くなって、助け合って生きてきた。
『三蔵・・・・・ッ!!』
口からあふれ出る血でうまく言葉を言えないけども、崩れ落ちた体制のままで、手で必死に三蔵の場所まで向かう。
三蔵三蔵と、何度声掛けても答えない。
分かっている。
悟空だって、八戒だって、悟浄だって、なんで私の声に反応しないことくらい。
三蔵・・・ずっと一緒にいて思いを告げなかった事、今更後悔している。
『だい・・・すき・・さん・・・ぞ...ぉ』
三蔵の手を握り、私も目を瞑る。
彼らも全く動かない。
そして、今から私も──
そう、私たちは牛魔王実験の阻止に失敗してしまったのだ。
どうか・・・次に会えることができるなら、何年でも何十年でも、何百年でも待つから。
また、彼らと会いたい。
次は、争う事のない平和な場所で、彼らと、三蔵と共に生きたい。
そう思って、私も目を閉じた。
さようなら・・愛しい日々。
また・・・会おう。