黒薔薇代わりのキンセンカ
□途切れた線
2ページ/3ページ
「揃ったか、集会の前に出席とるぞ。」
『・・・・・っ!』
なんだかんだで、担任が教卓に立ったところで、やっと担任の顔を見た。
三蔵・・・・・!
声に出さずとも心の中で名前を叫んだ。
本当は今すぐ抱きつきたい。
会いたかったって。会えてよかったって。
でも、それをしないのは、悟空のように私を忘れてるんじゃないかっていう恐怖と──
生徒と先生という壁。
こんな遠い位置で会うとは思ってなかった。
社会人として、先輩だとか、課長だとかそういう位置だったなら、一般従業員だって恋愛はできる。
だが、生徒と教師って・・・
しちゃ悪いだろ・・・つか、生徒に絶対恋愛感情にいれねーだろ。
前世でも歳の差はあったが、まさか現世でも、歳の差を作られるとは・・・・
”ねぇ・・三蔵先生ってかっこいいよね?”
”ほんとほんと、厳しいけどイケメン!!”
”でも、三蔵先生って結婚してるんでしょ?”
”ちがうよ。でも結婚するかもって、彼女はいる見たいよ?”
周りから聞こえる女子たちの噂が耳に入ってくる。
三蔵に・・・・女?
一瞬で崩れ落ちる、期待。
誰もが、そのまま一途で思い続けるなんてないのが今ながら気が付いた。
そもそも、私のことを好きだったのかと聞かれれば、一方的に片思いをしてただけになる。
もしかしたら、もともと別の誰かが好きで、その人と今付き合ってるのかもしれないし。
私のことを好きなってくれる確率なんて....ないに等しいのかもしれない。
嫌な方向ばっか考えてきて、だんだん具合が悪くなってきて、しかも泣きそうだ。
この状態でなんて、教室にいられない。
というか、担任が三蔵ってつらいのほどがあるよ。
忘れてたなんて言われたら、顔も合わせるのもつらい。