黒薔薇代わりのキンセンカ

□途切れた線
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「揃ったか、集会の前に出席とるぞ。」






『・・・・・っ!』


なんだかんだで、担任が教卓に立ったところで、やっと担任の顔を見た。






三蔵・・・・・!



声に出さずとも心の中で名前を叫んだ。



本当は今すぐ抱きつきたい。
会いたかったって。会えてよかったって。


でも、それをしないのは、悟空のように私を忘れてるんじゃないかっていう恐怖と──




生徒と先生という壁。




こんな遠い位置で会うとは思ってなかった。



社会人として、先輩だとか、課長だとかそういう位置だったなら、一般従業員だって恋愛はできる。



だが、生徒と教師って・・・



しちゃ悪いだろ・・・つか、生徒に絶対恋愛感情にいれねーだろ。


前世でも歳の差はあったが、まさか現世でも、歳の差を作られるとは・・・・








”ねぇ・・三蔵先生ってかっこいいよね?”


”ほんとほんと、厳しいけどイケメン!!”



”でも、三蔵先生って結婚してるんでしょ?”

”ちがうよ。でも結婚するかもって、彼女はいる見たいよ?”




周りから聞こえる女子たちの噂が耳に入ってくる。




三蔵に・・・・女?



一瞬で崩れ落ちる、期待。




誰もが、そのまま一途で思い続けるなんてないのが今ながら気が付いた。



そもそも、私のことを好きだったのかと聞かれれば、一方的に片思いをしてただけになる。
もしかしたら、もともと別の誰かが好きで、その人と今付き合ってるのかもしれないし。




私のことを好きなってくれる確率なんて....ないに等しいのかもしれない。



嫌な方向ばっか考えてきて、だんだん具合が悪くなってきて、しかも泣きそうだ。


この状態でなんて、教室にいられない。





というか、担任が三蔵ってつらいのほどがあるよ。

忘れてたなんて言われたら、顔も合わせるのもつらい。
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