貴方といると不幸になる

□逃げる足、依存するぬくもり
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「どこいくー?」



「あ、この前TVでやってたとこはどうすかー!?」



「え?何て名前の奴?」



「わかんねーっす!」



「駄目じゃん。」



みたいな会話が続きながら、何処のファミレス行くか迷っていた。




街並みをきょろきょろと見渡す。
東京にくるのは久しぶりだな。




「あんまり、こっち(東京)に来ないの?」



『うん。買い物って言っても神奈川でもそろえられるし。』


東京に来る時は基本メイトに行くときだからな。
それと従兄弟に会いに来る時。
従兄弟今何してんだろう。
またぴょんぴょん跳ねてそう・・・。




「まぁ、神奈川も東京もたいして店変わらないからね。」



さわやかな笑顔で笑う彼は、なんだか精市に似ているとふと思ってしまった。




たしか・・・・名前は・・・・



名前・・・な ま え・・・



「不二周助です。」



『あっそうそう!不二君!あ・・・』



あれ、今私口に出してないよな?




「くすっ。そんな顔していたから名前言っただけだよ。」




『えっあ、ごめんね!今度こそ覚えた!!』



笑ってごまかす。
彼は危険だ.....いろんな意味で。


だが、イケメンなのは認める。





「ここでいいよね!?」



最前列にいた、尚吾くんと帆乃夏が足を止め、私たちに振り向く。



店の名前はドッキリゴリラ。
なんとも名前のネーミングは疑うが、ハンバーグ系の食べもの専門店らしい。




『うん。いいよ!』



一人でゴリラがハンバーグに吃驚している看板を見つめながら、皆して中に入っていく。




「はぁー!やっとたどり着いたー!」


テーブルを挟み、男子と女子に分かれながら座る。



何食べるかと、メニュー表をみてとりあえず決める。


あ、このチーズかかっているハンバーグ美味しそう。




「あ、瑠伽それ食べるの?じゃあ私は、普通のバーグディッシュで!真由は?」


「あたしもそれでいいや。」



「そっち決まったぁー?」



「俺はポテサラデニッシュ」


「僕は....普通のバーグディッシュでいいや。」



「俺もチーズバーグディッシュでいいかな〜!」




皆が決まって、店員をボタンを押して呼ぶ。


帆乃夏が全員分の注文内容を言い終わり、後は食べ物が来るだけとなった。





「じゃあ、改めて自己紹介しよっか?さっきはフルネームで言わなかったし。」



「そうだね。そうしようか、僕から不二周助。同じ青春学園高等部2年生。よろしく。」



「俺は、菊丸英二。不二と同じ高校二年生よろしく!」



「俺は、古崎尚吾。帆乃夏とは幼馴染で不二先輩と菊丸先輩は同じテニス部で一緒です!よろしくっす!!」






なるほど、帆乃夏と尚吾君は幼馴染なのね。
通りでお前ら付き合っちゃえよ!的な雰囲気だしてたのはそういう事だったのか。







「私は佐々木帆乃夏。尚吾君の言う通りで幼馴染。立海大高等部の2年!よろしく。」



「あたしは雪ノ下真由。帆乃夏と同じ高校二年生。よろしくね?」



なんだかんだ言って私の番だ。
なんだこの全員の視線を感じるのはやけに恥ずかしい。
この人数だけなのになんだか緊張する。




『私は園原瑠伽。高校二年。よろしく。』






「これで、皆自己紹介終えたよね?名前覚えた?」




「んーと、真由さんに、瑠伽さんに・・・・あと、えーと。」



「わざとでしょ!私だけ忘れるなんてわざとでしょ!」



やっぱ仲がよろしい。
やっぱお前ら付き合っちゃえよ。




「ねぇ、瑠伽ちゃんはどーゆーの好きなの?」




『どーゆーのって?』




不二君がいきなり私に話しかけてきた。
といっても真由は菊丸くんと、帆乃夏は尚吾君と話している。




「好きなものとか、食べ物とか。」



『好きなものねぇ・・・・』


こういう場合どう答えたらいい。
私が好きなもの。アニメ、ゲーム、PC。

とくにオンラインゲームは好きだ。
パソコンの前に座って一人でかちゃかちゃとやり続けていることもある。




「へぇ、そうなんだ、ゲーム好きとかなんだか意外だね。」



『ふふふ不二君は!?』



あぶねぇあぶねぇ!いやもう遅いけどね!私の心と会話してたね!彼は!



「僕はカメラ。人物や物、写真撮るの好きだよ?」




『へぇ!カメラか!なんかすごいな。その一枚でその場の環境、空気、動きをすべてみせからね。写真って。』



一度、精市と写真館に行ったことがある。

その写真一枚一枚、すべて飲み込まれたような感じにさせられる。
すごい、と初心者の私にはそう思うしかなかった。
風で動く雲の動き、隙間から射す夕日。その一瞬しか起きない動きを写真として収めることが出来るのだから。
飽きもせず一枚ずつ何分も掛けて見入っていた記憶がある。



「そんなに言われたの初めてだな。すごいとしか言われたことしかなかったから。」



『写真撮るの私も好きだよ。といっても本格的ではなく、携帯でとかだけど。』



私がとる写真は基本その場の”思い出”ばかりだから。




「それでも、好きな物が共有し合えるのって良いと思うよ。今度一緒に撮りに行かない?」



『うん。機会があれば誘って?』




なんだかんだで、不二君とは仲良くなれそうだ。
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