貴方といると不幸になる
□特別指導にて
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『うっわぁ、ひっろ・・・。』
それ以外の言葉は出なかった。
とりあえずでかい、豪邸だけど超豪邸だ。
「瑠伽、行くぞ。皆先に行った。」
「あ、亮。」
ぼーと豪邸を見つめていると、皆先に行きやがった。亮とその後輩君の長太郎くんだっけ?が私を待っててくれた。
「瑠伽さんは、跡部さんの家来るの初めてでしたっけ?」
『うん!だから吃驚したぁ。跡部君ってお金持ちなんだね。』
「まぁ、跡部財閥の御曹司だからな。」
『まじか!!』
名前で気づけよと呆れる宍戸を放っておいて再度建物を眺める。
でも、やっぱそれなりに両親は仕事で忙しいんだよね。寂しくないのかな?
「もういいだろ、中行くぞ。」
考えてたら腕を引っ張られたので、ついて行く。
『中もひっろ!!』
「こっちだ!!」
もう中にいた跡部君が私たちを呼ぶ声が聞こえた。
一生味わえないであろう、この空間の居心地さを忘れない様にじっくり歩く。
『跡部君すごいね!!』
「はっ!当然だろ!」
さすが俺様!!
言わずにいたが跡部君は俺様って言っても似合う人だ。
皆の後ろをついて行けば跡部君の部屋の前に着いた。
『これ部屋かよ!!』
「吃驚するだろ??」
岳人がぴょんぴょんとこっちにやってくる。
ジローはもう跡部のベットで夢の国だ。
「何する?」
「日吉は?」
「図書室行った。」
日吉君って、まだ一言も喋ってないけど、真面目系男子なのか、図書室って。
座ろうってなって適当に座り始める。
私は岳人の隣(反対の隣は亮)に、ちょこんと腰を下ろした。
なんて高級なソファなんだ。
このまま眠りそう・・・
「...恋愛話でもするか。」
「ほう、恋愛話か。」
『はぁ!?』
「なんだよ吃驚した顔して。」
岳人は一体いつからそんな乙女チックな心をお持ちになったんだろう。
「だって、俺たちだって男子高校生だぜ?一生テニスに捧げてたら独り身になっちまうじゃん。」
「それはそうだけどよ・・・・。」
亮は少し顔を赤くして黙り込む。
逆に、亮はいつまでウブでいる気なんだろう。
「そういや、鳳。この前告白されてたよな?」
「えっ!!見てたんですか!?」
「おう。宍戸と日吉と。」
「宍戸さんも見てたんですか!?」
「が、岳人!!」
言うんじゃねー!的な表情をしておりますが、もう遅い。
岳人は、ぱぱっと口に出してしまうミニマムなのです。
『へぇ、長太郎君モテそうだもんねー?』
私も調子乗ってその場の空気に乗っかかる。
「そ、そういう瑠伽さんこそどうなんですか!!」
『えっ!?私!?』
「確かに瑠伽の恋愛話は聞かねぇな。」
『わ、私よりほらっもっと氷帝生の恋愛聞かせてよ!?』
なんで私に乗り移った!?やめてくれ!!
「瑠伽、長太郎の恨みは怖いぞ。」
『えぇ!?』
ぼそっと耳元で顔色をすこし悪くした亮がそう告げてきた。
って、それ先に言ってよ!!
「告白されそうですねー?瑠伽さんも」
”も”って言ったよ!?”も”って!!自分認めちゃったよ!?長太郎君!!!
「あぁ、そういや幸村とまだ付き合ってねぇーの?」
『えっ・・・?』
「何?その話?」
岳人がさらっと言った台詞に思考が固まっていると別のところから声が聞こえた。
『うわっ!!』
「うおっ!?」
私と岳人が吃驚して二人で抱き合ってしまった。
まぁ、そのぐらい岳人と私は仲がいい。