novel
□GIMME YOUR LOVE
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私の彼氏兼上司の土方さんはいつになく気難しそうな顔をして自室をウロウロしている。そんな彼を彼女兼部下の私は何も言わずに見守る。
……見守る、というより山積みの書類(主に総悟の始末書)に目を通したり判を押してるだけだけど。
「ゆい」
「はい」
名前は呼ばれたものの、総悟が攘夷浪士と勘違いして爆撃したチンピラ達のの弁護士からきた賠償請求に意識を持っていかれていたため顔はあげない。
「ゆい」
「ちょっと待ってください。わけわかんない賠償請求がきて……どうするんですかコレ」
「んなこたぁどうでもいいんだよ」
「きゃっ……」
土方さんは私を抱きあげて、自分の膝の上に座らせる。
「あ……あのっ……!」
「あぁ?テメーが俺の顔見ねぇからだろーがよ。出張から帰ってくるなり仕事仕事仕事……」
どうやら土方さんのご機嫌ナナメの理由は私だったらしい。
出張、といっても一週間だけ屯所を離れただけだというのにこれか。まぁ、嫌じゃないけど。むしろ嬉しい。それだけ思ってくれてるということだから。
「すいません。でも私がいない間土方さんが片付けなかった書類を私が片付けでるわけで……」
「うるせぇよ」
「……土方さん」
どうしよう、仕事残ってるのにな。そんな私の心配をよそに、土方さんは私の肩に顔を埋めている。
「ゆい…こっち向け」
「なんですか?…んぅっ」
顔を後ろに向けると、土方さんが頬にキスしてきた。こんなに素直に愛情表現するなんて珍しい。それだけ一週間がきいたのかな?
「ほら、ちゃんと」
「うわぁ!?……んぅっ…ふぅ…」
畳の上に押し倒され、貪るように口づけされる。恥ずかしいけど、こういうところが好きだったりする。いつもは冷静で鬼だなんて言われてる人が、ただの一人の男になってる。そんなことを考えているとチュッと音を立てて唇が離れる。
「なんだ、随分余裕ありそうじゃねぇか」
「はぁっ…はぁ…土方さっ…」
「仕事なんかほっとけ、今は俺だけ見て、俺だけ考えてりゃいいんだよ」
「……わかりました」
私が諦め気味にそう言うと、土方さんはニヤリと笑みを浮かべた。
「愛してる、ゆい」
「私も…土方さん…」
GIMME YOUR LOUE
お前は知らない
どんなにお前を愛してるのかを
(お前が思う以上に、お前を愛してる)
word by GIMME YOUR LOVE/B'z
::アトガキ::
実際「GIMME YOUR LOVE」の歌詞とはかけ離れてるのですが、この部分だけをピックアップ。この話は続きます。裏になります(笑)
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