novel
□Dear my...
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事件の資料を広げて、考え事をしているのかしていないのかわからない表情でそれを見つめる笹塚衛士。私の部下であり、恋人なわけですが
「笹塚くん?」
「あ、はい、なんすか?」
「もう夜中なんですけど」
「はぁ……?」
これだけ言っただけじゃわからないか。恋愛系にはかなりの鈍さだなぁ。
「昨日の夜10時」
「はい?」
「今現在夜中2時」
「……あ」
気づいたのか、慌てて資料を片付け出す笹塚くん。たまーにこんなとこ見せるから可愛いんだよね。
「すいません、考え事してたもんで」
「わかってる。だから今日は遅いし帰って寝よ?」
「そんなわけには…」
彼が引かないわけ。昨日は私の誕生日だったのだ。仕事終わりにケーキでも買って帰ろうと約束していたのを、笹塚くんは仕事に夢中で忘れていたわけで。
「私がいいって言ってるんだから。大体誕生日祝って喜ぶ歳でもないんだしさ」
私は自分の荷物を持ち、帰るよとドアの方へ向かった。ドアノブに手をかけた瞬間、背後から衛士に抱きしめられた。
「笹塚くっ」
「ゆい……ごめん…」
「職場では神田さんでしょっ」
「関係ない、二人しかいないし」
「ちょっと……んんっ」
体を笹塚くんの方へ向けられ強引にキスされる。
「今はもう、衛士でいいだろ」
「ん……衛士…」
衛士は胸ポケットから紙を二枚取り出して私に見せた。私がずっと見たいと行っていたアクション映画のチケットだ。
「昨日の夜ケーキ食べて、今日の休みは映画見に行こうと思ってた」
「衛士……」
「誕生日おめでとう。愛してる、ゆい」
「…ありがとう」
思わず笑みがこぼれる。
「明日映画見て、ケーキ食べよう。プレゼントは、ゆいが欲しいもの買ってやりたかったから用意してないんだけど…」
プレゼントを用意していないというとこに、少々申し訳なさを感じているのか不安げな顔をする。私は全然気にしてないのに。
「いいよ、衛士が考えててくれたことだから。嬉しい」
「そっか」
「愛してるよ、衛士」
私からキスをすると、衛士も微笑みを浮かべてくれた。
その後、久しぶりに手を繋いで帰宅し、衛士に激しく抱かれてぐったりして昼になるまで起きれませんでした。
Dear my...
明日もいい笑顔を見せてね
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