novel

□奴隷(仮)調教開始
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「ゴミムシ」

「生ゴミ」

「ダンゴムシ」

「ミジンコ」

「金魚の糞」

「ゲス野郎」

先ほどからずっとこの調子だ。
ある日、突然弥子が連れてきたこの女、ゆい。
頭が切れるし、なかなか使える奴だと思って事務所の新しい奴隷として向かえたわけだが、この女はそれを決して認めない。

我輩に踏みつけられれば、その足をどかして我輩の腹に思い切り蹴りを打ち込んでくるし、縛り付けてやろうとすればそのロープをつかんで我輩を縛ろうとする。

「誰があんたの奴隷なんかになるか。雇うなら給料だせ」

それがコイツの口癖だ。
もちろん給料なんぞ払ったことはない。
困っている人間を捨て置けないのがコイツの性格だ。給料なんぞ払わなくても現場に連れて行けば謎を解こうと毎回躍起になっている。

「貴様、我輩が人間なんぞより遥かに優れた生物だとわかっていないようだな」

「魔人でしょ?知ってるけど、知ってますけど」

「魔人がどういうものなのかを知らない、わかっていないということだ」

「わかりたくもないですー。人間を奴隷扱いする生物のことなんて」

そう言うと自前のノートパソコンを開いて今請け負っている事件のことについて調べ始めた。

「今は我輩が貴様と『話してやってる』のだ。パソコンを閉じて、我輩を見ろ」

「いちいち上から目線で言われるとむかつくので『話してやる』気にもならないです」

いちいち頭にくることを言う奴だ。
我輩はゆいのノートパソコンを取り上げて、高く上げた。ゆいの身長は弥子と同じぐらい。飛ぼうが何をしようが届きはしない。

「返してよ」

「嫌だ、と言ったら?」

「力づくで取り返すっ!!」

「うおっ!?」

何をしても取れはしないと油断していたせいか、足を横から強く蹴られてバランスを崩してしまった。床に倒れそうになる時、してやったようなゆいの顔を見て苛立ち、ゆいのシャツの襟を思い切り掴んだ。

「ちょっ…!!!」








「ぅー…いた…くない」

「当たり前だ。奴隷の分際で主を下敷きにするとは」

「うわっ!?」

ゆいは自分の今の状態を見て顔を真っ赤にした。
我輩は床に寝そべり、片手にノートパソコン、もう片手をゆいの腰にあてている。ゆいは我輩の上で寝そべっている状態だ。

「はっ…はははは離して!!!」

「離せだと?貴様、我輩に礼もなしに言う言葉か?」

「だってネウロが私の襟引っ張ったからっ…!」

「どんな経過であれ、目上の者の上に乗っかり無傷ですんでいるんだ。礼を言うのは当然だと思うが?」

「そんな…」

離れようとするゆいの腰を強く引き寄せる。我輩に密着している胸から、ゆいの鼓動が伝わってきた。

「なんだ貴様。貴様の大嫌いな我輩と密着して、こんなに心臓が早く動くのか?」

「うううるさいっ!」

「さっきからどもりすぎだな。我輩に鼓動のことを指摘されて動揺しているのもわかる。さては貴様、男と関係を持ったことがないのか?」

「っ…そ…それくらいあるもんっ」

見栄を張っているのが丸わかりだ。
面白いからしばらく続けよう。

「ほう。ならば…」

「うわぁっ!?」

そのままゆいを下にして組み敷く。あ、ノートパソコン落とした。まぁいいだろう。

「こういうことも、したことがあるのか?」

ベストのボタンをはずし、前を開けてシャツのボタンをゆっくりはずしていく。

「やだっ…ネウロ…」

「…最高の気分だな。何をしても絶対に屈しなかった貴様が、こんなことで目で必死に助けてくれ、勘弁してくれと訴えかけてくる」

ボタンはかなりはずれ、中の下着が見える。

「ほぅ。性格に似合わない可愛いのをつけてるんだな。こんなところより、もっと性格を女っぽくしてみたらどうだ」

「もう…ネウロってば…!」

「なんだ?」

「んんっ…!」

耳元で囁いて息を吹きかけてやると、ゆいの腰が跳ねた。

「さぁ、どうしてやろうか」

「たっだいまーっ!!」

耳障りな声が聞こえたと思って、事務所の入り口を見てみてば間抜面の奴隷が一匹見えた。こちらを見て硬直している。

「ネネネネネウロォォォ!?」

「なんだ、騒がしい。調教の途中だ、出て行け」

「出て行けるわけないでしょーが!!」

そういうと、我輩を押しのけてゆいの身体を起こした。

「ゆい、大丈夫!?」

「うっ…うんっ…」

「チッ…つまらん」

「つまらんじゃないってば!これは犯罪でしょ!!」

「主が奴隷を調教しようとして何が悪いのだ」

ゆいを見ると涙目になっていた。こんな弱弱しい顔のこいつを見たことがない。よくわからないが、ゾクゾクした。

「……仕方ない。次の機会に」

「もうダメだってば!!」



奴隷(仮)調教開始
かんには触るが、その強気な態度。
いつまでもつか楽しみだな。





◎後日談(ネウロ外出中)

「ゆいさぁ、あんな憎まれ口ばっか叩いてるからあんなことされちゃうんだよ」

「憎まれ口叩かなくても、弥子はもっと酷いことされてんじゃん」

「ぅっ…。と、とにかく!ゆいはよくわかんないけどネウロのこと好きなんでしょ?だったらもうちょっと素直になってみなよ」

「素直になったら奴隷になるじゃん?」

「う…うん、まぁね」

「まぁ、魔人とまともな恋愛なんかできないとは思うけどさ…はぁ」



::アトガキ::
素直になれないヒロインさんの話でした。
これは多分続き書きます。あんまりいいエンドは思いつかないんだけどね!
甘いエンドと奴隷エンドと書こうかな。






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