novel

□抑えきれない衝動
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「ゆい」

「なんですか?」

「抱いていい?」

「え」

いつもならフリーズすることもない言葉だけど、今日はワケが、というか場所が…。

「笹塚先輩、どうしたんですか?」

「いや、抱きたい」

「いや、だから」

ここは職場なんですが。

「なぁ、ゆい」

「職場では名字で呼ぶって約束ですよね?」

「ゆい」

「あー、もう!!」

周りの目線が痛い。痛すぎる。
私達が付き合ってるのは周知の事実、そして絶対に公私混同しないというのも周知の事実。なのに、今日は笹塚先輩がおかしい。

「って、何抱きついてきてるんですか!?」

「はぁ……いい匂い」

「ちょっとっ…くすぐったい」

笹塚先輩が首元に顔を埋めてくる。周りの目線が血が出そうなぐらいに痛い。何このプレイ。

「ゆいちゃん、先輩どうしちゃったの…?」

いつもなら茶化してきそうな石垣くんですら、笹塚先輩の異常事態に若干引いてる。

「わかんないよ。……働き詰めだからおかしくなったのかな…?」

「先輩にもこんなとこあるんだ」

「とりあえず引き剥がすの手伝って…」

石垣くんは頷いて笹塚先輩の背後に回って私から引き剥がそうと手を伸ばす。

「ふべっ!?」

笹塚先輩は石垣くんの顔面に裏拳をくらわせた。

「ーーーっ!!!」

声にならない声をあげて、石垣くんは踞った。相当痛かったんだろう。

「石垣くん、大丈夫!?」

「ゆい……もう俺力出ないんだけど…」

「あんな凄まじい裏拳くらわすぐらいの力あるじゃないですか」

「あー…ダメだ」

「きゃっ!?」

笹塚先輩は立ち上がって私の腕を掴み、強く引いた。私を半分引きずるような形で、玄関に向かって歩き出した。

「笹塚先輩!」

「なに」

「仕事中ですよっ!今日やっと定時で帰れるんですからそれまで」

「我慢しろって?無理」

「ちょっとぉ…」

玄関を出て駐車場に着き、笹塚先輩の車の助手席に押し込まれた。

「どうするんですかっ!?」

「俺は仕事もう片付いてるから。これから帰」

「私はまだ仕事残ってます!」

「なら…定時二時間前ぐらいに戻ればなんとかなるだろ。というか」

笹塚先輩は私にグッと顔を近づけて微笑み、

「なんとかしろ」

と鬼のようなことを言って助手席のドアを閉めた。









結局ホテルに連れ込また…。

部屋に入るなり、笹塚先輩は私を壁に押し付け激しいキスをしてくる。

「ふぁっ…ん…んぅっ…」

「……はぁ…ったく、何やってんだ、俺は…」

「そんな今さら…」

唇を離したあと、笹塚さんはそう言いながらベッドに座り、隣を手でぽんぽんと叩いた。私はそこに座り、笹塚先輩の顔を見る。

「何かさ……ゆい見てたらむしょうに抱きたくなって…。必死に我慢してたら、爆発した」

「……それであんな恥ずかしい行動を…」

「石垣にも悪いことしたしな」

そう言いながら自分のネクタイを取り去り、ワイシャツを脱ぎ始める。私がそれをボーッと見ていると、上半身裸になった笹塚先輩が顔を近づけてきて、耳に息を吹き掛けてきた。

「ひゃっ…」

「脱げよ」

「っ……わっ…わかりましたよ」

スーツを脱ぎ、シャツのボタンをはずしていく。笹塚先輩はただじっと見つめてきて、恥ずかしくて顔が熱くなっていくのがわかる。

「どうした、手、止まってる」

「だって…笹塚先輩が…」

「今は衛士」

「えっ…衛士が…見てるから…」

「恥ずかしい?」

頷くと、衛士はふっと笑って「可愛い」と言うとまた深くキスしてきた。
そのまま押し倒され、口の中を犯されて頭がぼんやりしてくる。

「…ん…。ほら、ボタンはずしたから脱いで」

「っ…いつの間に…」

「キスしてる間に」

わかってるよ!

シャツを脱ぐと、衛士は私の背中に手を回しブラのホックを慣れた手つきではずして露になった胸を両手でゆっくり揉みしだいてきた。

「柔らかい」

「ん…あ…はぁっ…」

「可愛い声出して…止まらなくなる」

止める気もないけど、と言うと立ち上がった胸の突起を親指でこねるように刺激してきた。

「あっ…」

久しぶりに与えられる快感に、下腹部がジンと熱くなるのがわかる。

「気持ちいい?」

「きっ…かないで…!」

「聞かないとわからない」

衛士は片方の胸の突起に、わざとらしく音を立てながら吸い付いてきた。舐めたり甘噛みしながら、手は下へと伸びていく。

「ぁっ…衛士っ…スカート脱ぐから…待って…んんっ」

「脱がせてやる…」

そう言うとスカートのホックをはずし、チャックを下げるとさっさと脱がせてしまう衛士。器用だな…。

「これも脱がせてあげようか?」

下着越しに敏感な部分を刺激され、少し腰が跳ねる。

「っ…嫌って言っても…脱がせるくせにっ…」

「よくわかってるな」

下着も脱がされ、反射的にギュッと脚を閉じる。でもすぐに衛士に開かされてしまった。

「濡れてる。ゆいも欲求不満だったりした?」

「そんなことない…」

ないこともないけど、恥ずかしいし言えるわけない。

「ふぅん。なら、ゆいにはしなくていいか」

「え?」

予想外の言葉に呆気にとられていると、衛士はニヤリと笑って耳元で「俺をよくして」と囁いてきた。



「んっ…ふぅっ……」

「はぁっ…ゆい…上手い…」

それから衛士に言われるまま、衛士のものをくわえている。

「ほら…もっと奥まで」

「んんっ」

頭を掴まれ、奥まで押し込まれる。口が小さめの私にはかなり大きくなっているそれが奥まで入りきらない。

「ぅっ…っ…ぷはぁっ…」

「苦しかった?」

口を離して衛士を見上げると、どこか満足そうな顔をしている。何この人、たまったらドSになるの?

「その顔、凄い可愛い」

「え?」

「涙目になってて、口半開きで、なんとも言えないぐらいエロいと思う」

「……バカ」

「いいよ、バカで。それよりさ」

「うわっ」

いきなりお姫様抱っこされ、ベッドから降りると一面ミラーになっている壁の前に立たされた。

「手ついてて」

「え、やだよ、恥ずかしいし…」

「すぐにつかないとならない状態になると思うけど」

「あぁっ…!」

いきなり中に指をいれられ、激しく動かされる。その刺激で脚に力が入らなくなり、衛士の言う通り、私はすぐに鏡に手をついた。

「さっきより濡れてる。俺のくわえてて興奮した?」

「ちがっ…あぁんっ…!」

「指一本じゃ足りないだろ?」

中にもう一本指が入ってくるのがわかる。いいところを擦るように出し入れされて、体に力が入らない。

「あっ…あぁっ…衛士っ…無理ぃ…!」

「イキそう?」

「んっ…ぅんっ…」

「じゃ、やめよっか」

「ぁっ…」

突然出し入れをやめた衛士は、中からゆっくりと指を抜いていく。

「衛士っ…?」

「なに?無理って言ったから止めたんだけど…。というか、締め付け過ぎ。指なかなか抜けない」

「んっ…意地悪っ…」

衛士が少しニヤニヤしてるのを鏡越しに見ていると目が合って思わずそらしてしまう。

「衛士いつもよりすけべ…」

「こんな俺に抱かれるのはいや?」

「いやじゃないけど…」

「じゃぁ…挿れていい?」

耳元で甘く囁かれ、体がぶるっと震える。私が黙って頷くと衛士は指を完全に抜き、自身をあてがってきた。

「バックだけど、顔見えるからエロいな」

「言わないでよっ…」

「はいはい。じゃ、…挿れるから…」

「んんんっ!」

腰を掴まれ、一気に奥まで衛士のが入ってきた。指二本とじゃ比べ物にならないそれに生理的な涙が零れる。

「っ…ゆいっ…締めすぎ…」

「だっ…てぇっ…!」

「とりあえず力抜いて…。このままだと…すぐイキそう…」

「はぁっ…ぁ…」

後ろから抱え込むように抱き締められ、衛士の体温が伝わってくる。耳に息がかかってくすぐったい。

「ゆい…」

「なに…?」

「好きって、言って」

「ん…好きっ…衛士…」

「……俺も、好きだ」

「ひゃぁっ!」

いきなり動き出した衛士。その動きから余裕がないのだろうと伺える。

「はっ…激しいよぉっ…アァァッ…!」

「悪い…止まらない…」

「えっ…しぃっ…!」

「はぁっ…ゆい…エロい顔…」

ズンッと奥を突かれ、膝がガクガク震え出す。

「もうだめっ…イッちゃぅっ…!」

「俺も…ゆい…愛してるっ…」

「衛士っ…あっ…あぁぁぁっ!!」

私が達した直後、中に熱いものが流れ込んできた。











「妊娠しちゃうかもしれないよ」

「あー…いいんじゃない」

「そんな無責任な」

さっさとシャワーを浴びて身だしなみを整えホテルを出て、職場に戻る途中。
まさか衛士が中に出すなんて思わなくて問い詰めているとそんな返事が返ってきた。

「無責任ね…。ゆいを嫁にもらえば問題ないだろ」

「それってプロポーズ?」

「いや。プロポーズはもっとちゃんとする」

「……もう」



職場に戻れたのは定時一時間前。上司からこっぴどく怒られ、石垣くん含む同僚からは冷やかされ、てんやわんやの中、結局残業になりました。


抑えきれない衝動
愛しくて抱きたくて仕方なかったんだ。
それだけ。






アトガキ
笹塚さんの中の人の声を聞いてたらエロい笹塚さんが書きたくなった、反省はしてます。後悔はあんまりしてないです。








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