novel
□LADY LION
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突然だが、俺は今激しく悩んでいる。しかも、他人には激しく相談しにくいことでだ。
俺には今、恋人がいる。
そいつは真選組の、そろばん隊士…会計方だが腕も立つし、並大抵の輩には負けることはない。そう信じられる女。
つまり、強い。
しかし、強いと言っても腕が立つだけではなく、気も強い。そう、何もかもにおいて『強い』のだ。
そして俺は、完全に尻に敷かれている。
「土方さん、ゆいから開放されてご機嫌ですねぃ」
「うっせー…。ご機嫌じゃねーよ」
今は少し屯所を離れて出張している。よりによって総悟と一緒だが、最近総悟はゆいに尻に敷かれている俺を見るのが余程楽しいのか殺そうとはしてこなくなった。
「あー…もう、どうしたもんかな」
宿の一室で窓の外を眺めながら、考えるのはゆいのことばかりだ。どれだけ尻に敷かれていても、やっぱり好きなものは好きだ。というか、好きじゃなかったらやってられないわけだが。
「それより土方さん。ずっと気になってることがあったんですけどねぃ」
「んぁ?」
総悟はテレビを見ながらせんべいを頬張っている。俺もそのせいべいに手を伸ばし、バリッと音を立てて噛み砕いた、その時
「ゆいとはもうセックスしたんですかぃ?」
「げほっ!?」
そんなことを言うもんだから、せいべいの粉が気管に入って思い切りむせ返した。
こいつは…俺の激しく悩んでいることを…読心術でも使えるのか?
「……その様子だと、やっぱりまだ見たいですねぃ」
「うっせーなぁ…」
「まぁ、断られるのが怖くて言い出せないか、言ってみたけど拒否されたか、どっちかでしょう?」
何なんだよ、こいつ。ちなみに俺は後者だよ。
『なぁ、抱きたいん、だけど』
『え、やだ。明日仕事早いしマジ無理』
『ああ、そう』
こんな感じだった。ってかマジ無理って何なんだよ!!今更腹立ってきたぞ。
「土方さんはゆいを甘やかし過ぎなんでさぁ」
「そうか?」
「隊士も言ってますぜ。ゆいを目の前にしたら目尻下がってるって。それに、普段絶対やらねーようなパシリみたいなことまでやってんじゃないですか」
「あー…」
目尻が下がってるのは気付かなかったが、パシリに使われてるというのは、まぁ思い当たるふしはある。
『土方さん、私アイス食べたい…』
『ん、何味だ?』
『チョコレート』
『わかった。買ってくる』
いつも大体こんな感じだ。
でも、俺は別に嫌じゃないし。
「だって、食べたいっつたら食べさせてやりたいだろ?」
「土方さぁん、俺焼肉食べたぁい」
「死ね」
「……ゆいは自分が土方さんにとって『特別な女』だってわかってるんでさぁ。自分の言うことはなーんだって聞いてくれるって。土方さん、このままじゃ『恋人』から『歩くお財布』に転落しますぜ?」
…いや、いやいやいや!!
ゆいはそんな女じゃねーよ!
しかし、歩くお財布とまではいかなくても都合のいい男ぐらいには格下げしそうな予感はする。
「仕方ねぇ。ここは俺はアドバイスしてやりまさぁ。よく聞けお財布」
「誰がお財布だ」
「名づけて『ツンデレ作戦』!」
「ツンデレ?」
――数日後。
「おお、トシ!総悟!ご苦労だったな!」
近藤さんとゆい含め数人の隊士が俺たちを出迎える。それなりに久しぶりな屯所はやっぱり落ち着く。何より、目の前にゆいがいるっていう時点で大分落ち着く。
「土方さん」
「ん、なんだよ」
「目尻下がってますぜぃ。作戦忘れたんですかぃ?」
「あ、そ、そうだな、うん」
総悟の『作戦』。上手くいくかはわからねーが、こいつが今まで俺に推奨してきた様々の策の中では最も使えるものだと思った。
「土方さん、おかえりなさい。おつかれさまでした」
ゆいが俺に声をかけてくる。いつもならこのまま抱き締めて、そして突き飛ばされるというパターンだが、
「ああ、ただいま」
俺は少し目をあわせるだけにして、屯所の中に入って行った。
それから数日は、いつものようにゆいを構うようなことは極力避けるようにした。
あからさまにならないようにはしたが、こうしているといかに以前の自分が一日の大半をゆいのために使っていたかがよくわかる。
「土方さん、よく耐えてますねぃ。俺ぁ作戦のためとはいえこんなにもつとは思ってやせんでした」
総悟の作戦、それは単純なものだ。ただたんに、『いつもより冷たくあしらう』だけ。それが『ツンデレ作戦』。
ニヤニヤしている総悟、ゆいを構いたくて仕方ない俺を見て楽しんでいるようだ。
まんまとのせられているような気もしたが、何故かここにきてこの作戦が上手くいくんじゃないかと思い始めている自分がいる。
日に日にゆいの態度は強気なものから少し弱気になってきている。俺の名前を呼ぶときも、大分控えめになっているし、『なんか食べたい』とかも言いにこなくなっていた。
「まぁ、安心しなせぇ。もうすぐ作戦は実を結びまさぁ」
「…おい、総悟」
「なんですかぃ?」
「なんでそこまで協力的なんだ?」
「なんでって……傍観してるより、毎日殺意持ってあんたを自分でいたぶってる方が楽しいからでさぁ」
「……あっそ」
その日の夜。
会計方に用事があり、部屋に向かうとそこに居たのはゆいひとりだった。
「あ、土方…さん…」
遠慮がちに俺の名前を呼ぶゆい。以前なら「丁度良かった」とか言って俺に何かをおねだりしていただろう。
「ああ、今日はゆいひとりか?」
「はい。ちょっと仕事が残ってて…」
珍しいな。残業嫌だが口癖のゆいがこんな夜遅くまで自分の仕事を残しているなんて。
「仕事残ってるとこわりぃんだけどよ、これも頼むわ」
「あ、はい。わかりました」
ゆいは書類を受け取ると、それに目を通し始めた。俺は「じゃぁな」とだけ言って部屋を出ようと背を向けた、その時だった。
「……?」
着流しのすそを掴まれている。
振り向くとそこには着流しのすそを掴んでうつむいているゆいがいた。
「ゆい?」
「土方さん……。私のこと、嫌いになっちゃったんですか…?」
「は?」
「出張から帰ってきてから…ずっと冷たいじゃないですか。何でですかっ…私が我侭だからですか?女らしくないからですか?もうっ…嫌いなら嫌いってはっきり言ってくれたほうが私っ…!!」
「ちょっ…おい、ちょっと待てよ」
「ろくに目もあわせてくれないしっ、笑ってもくれないし…話すことも仕事のことだけだしっ…もぉ…やだよ……」
ボロボロと涙を流しているゆいを見て、胸がきつく締め付けられた。そして、作戦とはいえここまで追い詰めてしまったのかと激しく後悔した。
「ゆい……」
「私はっ…私は…土方さんが大好きなのにっ…」
「わかった…泣くな、な?」
そっと抱き締めてやると、俺の胸に顔をうずめた。
俺はというと、初めて『大好き』と言われ少し胸が躍っていたわけだが、今はそれどころではない。
「俺も好きだ…愛している」
「嘘は聞きたくないですっ…」
「嘘じゃねーよ」
「きゃっ…」
畳の上に押し倒し、ゆいの顔を見つめる。思えば、泣き顔を見たのは始めてだ。
「愛してる…本当に」
「土方さっ……」
ゆいの言葉を遮り、軽く唇を重ねると首に腕が回されたのがわかった。俺がそのまま舌を差し込むと、ゆいはそれに答えるように舌を絡ませてくる。
「んぅっ……ふっ…ん…」
今まで我慢してきたものを爆発させるのは、ゆいの口元から漏れる吐息だけで充分だった。
キスしたままゆいの帯をとき、下着の上から胸を揉むとゆいの体が少し震えた。
「はぁ…っ…土方さっ…」
「ずっと、抱きたかった…ゆい…」
「んんっ…!」
唇を離して、首筋から胸元に舌を這わせる。白くて傷一つない肌が眩しい。背中に手を回して下着のホックをはずし、直接胸を揉む。
「んっ…ぁ…」
「全部、脱がすぞ」
「まっ、待って…!」
「待たない」
着物を脱がして下着を取り去ると、ピンと上を向く胸の突起が見えた。それを口に含み、吸い付いたり舌で転がしてやると、ゆいはその度に体を跳ねさせる。
「はぁっ…ぁっ…んっ…!」
「えらく敏感だな」
「そんな、ことっ…んぅっ…」
「可愛いけど」
触り心地のいい肌を撫でながら、ゆっくりと下へ手を移動させる。下着越しに割れ目に触れると、それだけで濡れているのがわかった。
「土方さっ……」
「触って欲しいか?」
「っ…んんっ!」
一瞬迷ったような表情を見せたが、下着越しに秘部と突起をいじってやるとゆいは素直に首を縦に振ってみせた。
俺は下着を脱がし、そこに顔を埋める。
「やだっ、なにすっ…!」
「なにするって、こうするんだけど」
「ふぁぁっ!!」
突起を舌で舐めあげたり、舌先でいじってやると秘部はひくつき、ゆいの腰は大きく跳ねた。ぐっしょり濡れているそこに指をゆっくりと挿入し、突起にきつく吸い付くと指をきつく締め上げてくる。
「いやぁっ、アッ、やだぁっ!」
「いや?嘘つけよ、ほら」
「んぅっ、あっ、あぁっ!あぁあっ!!」
指をゆっくり出し入れしながら突起を刺激してやると、さらにきつく指を締め上げてきた。
「なんだ、これだけでイッちまったのか?」
「はぁっ…ぁっ…土方さっ、ん…」
「なんだ?」
指を二本に増やして激しく出し入れをしてやると、ゆいは言葉を発することなくただいやらしい声をあげた。
「あぁぁっ、あっ、いやぁっ、んっ…変にっ…なるぅっ…!!」
「…可愛いこと言うじゃねーかよ…」
指を引き抜き、指に絡み付いた粘液を舐めとるとゆいは俺から目をそらした。
俺は下着を脱ぎ、自身をゆいの秘部にあてがう。
「挿れるぞ…?」
「んっ、は…ぃっ…」
ゆっくり中に挿入していく、が力が入りすぎているせいで上手く入らない。
「力抜けよ」
「無理ですっ…!」
「…しゃーねぇな」
ゆいの体を抱き起こし、四つん這いにさせる。こちらに尻を向ける体勢が恥ずかしいのか、嫌々と首を降ったがおかまいなしに腰を掴み、中に挿入していく。
「んあぁぁっ!」
肘を折り、尻をこちらにつき出す体勢になったゆいは上から見てるだけで相当そそる。
「ほら、入った…」
「ぁっ、くぅっ…おっ、きぃっ…からぁっ…!」
「なにそれ、おねだり?」
「ちがっ…くるしっ…アァァッ!」
出し入れを始める。ゆいは床に落ちている自分の着物を握りしめて快感に耐えているようだ。
「そんなっ…気持ち良いのかっ…?」
「はぁっ、あっ、あっ、きもちぃっ…ですっ…!」
「素直だな…っ…」
「んんっ…はぁっ、ん…奥やだぁっ…!」
「そこは素直じゃねーんだな。お前の『嫌だ』は『良い』の間違いだろっ…?」
激しく攻め立てると、ゆいの膝がガクガクと震え始めた。それを確認した俺は一気にラストスパートをかける。
「あぁぁっ、あっ、あ…んんっ、土方さっ…あぁっ…!!」
「愛してるっ…ゆい…!」
「わ…私もっ…んんっ、あっ、あぁぁあぁっ!!」
「っ……!」
ゆいがイッた締め付けで危うく中に出してしまいそうになるのを堪えて、なんとか外に出した。
ぐったりしているゆいにきちんと服を着せて、とりあえず煙草に火をつける。
作戦は、成功、なのか?
LADY LION
じゃれつく子猫にも
一瞬にして変わるのさ
(その一瞬のための俺の苦労…)
::アトガキ::
続きます(笑)
続くというか、ヒロイン視点で描きます。屯所に帰ってきた時から、裏な内容すっ飛ばしてその後の内容ですね。
ちなみに某バンドさんの曲の歌詞がモデルです。
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