めいん
□校内放送で君に届け!
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「―――死ぬほど恥ずかしかった」
帰り道、斎藤が言った。
「僕だって頑張ったんだから、お互い様だよ」
あの後、二人が教室に戻ればクラスは大騒ぎで、皆冷やかしたり、祝ったりと大騒ぎ。
ただ一人、土方だけがあまり浮かない顔をしていたのだが。
「でも、」
(ずっと想ってきた恋が、こんな形で結ばれるとは思っていなかった)
人生何がおきるか分からない、
なんてそんな言葉が脳裏に浮かんだ。
きっと一生好きだ、なんて伝えることは無く終わると思っていたから。
だから、結果的にこうなったことが嬉しくて仕方が無い。
「でも、何?」
でも、と言いかけた斎藤はその後無言になり、後が気になった総司は問う。
「―――何でもない」
"でも、こんな風になれるなら悪くない"
なんて。
言えるはずもないけれど。
総司には見えないように軽く俯きながら少し微笑んで、
少しばかり総司より早く歩いた。
「え、待ってよ」
(いつまでもこんな風に追いかける日々が続けば良い。)
それが彼らの一番の望み。
学園一有名なカップルとなった二人の願い。
end