めいん

□政宗さんと僕のホワイトデー
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「政宗さん、材料こんなので良いんですかね?」

どうもこんにちは。

一君の旦那さんになることが決定した沖田総司です。
僕は今高校の先輩だった伊達政宗さんとホワイトデーのお返しを作るべく材料を買いに来ています。

「愛があればどうにでもなる、―――はずだ」

そんな間を空けて言われても説得力の欠片も感じられないんだけどどういうことなのかな。
まったく、とりあえず毎度思うのはこの人ってどんなに元就さんにうざがられても負けない、
しつこさ、じゃなくて粘り強いところは尊敬に値すると思う。

「っていうか作る必要も無いと思うけどなあ…」

女子、もとい彼女・受けにあたる子が男子であろうと女子であろうと、寧ろ男子なんだけど
チョコを作るのは別に変じゃないと思う。っていうより凄く嬉しい!

だけど僕と政宗さんが付き合ってる彼女、
彼氏?いや彼女はそういうことをしてくれるような人では無いから残念なんだけど。

「俺らはmiracleを起してるんだぜ?今更弱気になる必要なんて無ぇ 」

―――うわあ、前向き。

うん、本当に奇跡だったと思う。
一君はまだ分かるとして、あの元就さんまでチョコを渡すどころか手作りするだなんて流石に思っていなかった。

これも何もかも全て一君のおかげなんだから、感謝してほしいよ。

あ、さっきから上で元就さん元就さんと呼んでいるのは、毛利元就さん。
政宗さんより2,3個年上の凄い冷たい感じの人。
落ち着きがあって、大人の人だなー、と思う。

少し長い茶髪に釣り目…、っていうと怒られるから猫目ね。
眼光鋭いとも言うのかな。

でも確かに顔立ちは良いし美人な人だとは思う。

で、僕がお付き合いしてるお姫様は斎藤一君。
真面目で勉強が出来て優しくて気が使えて可愛くてちょっと天然な子。そして冷静。

元就さんは綺麗とか美人って言葉が似合うけど、
一君にはやっぱり可愛い!でしょ。

そんな二人に通じるのはあんまり行事とか周りに流されないこと。
つまり、バレンタインにも興味なんて無い、ってことだった。

危うく僕も政宗さんも残念な日を過ごす羽目になるところだったんだけど、
あんまり楽しみにしている政宗さんを見て不憫に思った一君が元就さんを説得してくれたらしい。

本当に優しい子だよね、一君って!

だけどそのおかげで僕もチョコ貰えたんだし、
一概に政宗さんを馬鹿には出来ないし、
そんな態度の元就さんにもお礼を言いたいくらいだ。

そして今僕らが買い物に来ている理由は
柄にも無く手作りのチョコまで用意してくれた二人に、
今度は僕達がお返しを上げよう、という政宗さんからの提案でだった。

僕は買って返した方が綺麗だろうしきっと喜ぶ、
と言ったけど政宗さんは作ったほうが愛がどうのこうのって言い張って聞かなかった。

だけど一理あるよね。
そう納得した僕も実際政宗さんと一緒に買い物に来ているわけで。

「元就さんの何処が良くてつきあってるの?」

僕が今までずっと不思議に思っていた疑問をぶつけてみた。

「―――、お前は毛利の良さに気づいてねぇのか」

何か凄い声で聞かれた気がする。
呆れてるっていうか僕が怒られてるっていうか、
とりあえずなんかちょっと苛っとくる言い方。

「まず美人だろ、それにあのつれねぇところが最高じゃねぇか。それから…」

「はいはい、先行きますよ。」

僕は一人で語り始めそうな勢いの政宗さんを置いて、
会計を済ませた材料をエコバックに入れて店を出た。
(エコバックは一君に持つように言われてるからね)


地球に優しいそんなところも僕は大好きだ。







                             *







「…毛利さん」

今日は伊達と沖田が出かけるというから我と斎藤で留守番をしていることになった。

「何ぞ」

ず、と小さな音を立てて斎藤に淹れてもらった茶を啜りながら短く答えると、
斎藤はいつもどおりの真面目な表情で口を開く。

「貴方は、政宗さんを好きなんですか…?」

何を突然言い出す、こやつは。

つい茶を噴き出すかと思ったが一応口内にとどめ、真意を探るように斎藤を見る。
すると少し困ったように視線を逸らしたのが分かった。

「―――成る程、政宗に聞けと言われたか。」

政宗め。帰って来たら日輪に捧げてやるわ。

斎藤なら願われれば断れないと分かっていて聞けと言ったわけだな。
何処まで腐っているのか、性根を疑う。

「…違います。俺と総司が気になっただけで…」

毎度思うが斎藤は健気だ。
それを利用する政宗は屑か。

我に聞くことがあれば直接聞けばいいものを、
何故人を介し聞こうとするのか我には理解できぬわ。

「もういい。後で政宗は――」

そこまで言ってから不意に斎藤を見ると、何処か申し訳なさそうに俯いていた。
今度はどうしたのかと問おうとするもすぐに分かった。
頼まれたことを成し遂げられなかったから
政宗の奴に申し訳ないとでも思っているのだろう。

「気にするな。悪いのは貴様ではない。所詮全てあやつの所為ぞ」

ここまで出来た奴は滅多にいないだろうと思いつつ、溜息を零した。
こんなに出来ていると不憫なこともあるな、と思ったからだ。

「それより我たちも出かけないか。暇だ」

半ば無理矢理斎藤の腕を引っ張り、
立ち上がらせると玄関へ歩く。

「あ、用意をしてからっ…」

玄関までくると我が手を離し、
一度上着と鞄を取りに行ってから戻ってきて、二人で外へ出た。








                              *









「Hey honey!今帰ったぜ…、ってあれ、いねぇ」

政宗さんが煩いくらい大きい声で元就さんのことを呼んだけど、
そこには一君も元就さんも誰も居なかった。

「あれ、留守番してて、って言ったのに」

荷物をおいて携帯を取り出すと一君からメールが来ていて、
内容は"元就さんと出かけてくる"と言うものだった。
まあ、元就さんなら一君が絡まれたところで絡んできた人とか蹴散らしそうだから大丈夫だよね。

「元就さんと一君でかけてるって。」

僕がメールを見てから口にすると、
政宗さんは一瞬悲哀の色を目に宿したけど直ぐに戻して好機だと台所へ走った。

「今のうちに練習すればいいじゃねぇか。丁度良い」

あと2日でホワイトデーだし、
それもいいかもと思って僕は頷いて二人で作り始めた。
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