めいん

□こわいはなし。
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一さんの死でおかしくなってしまった一さんのお母さんは、
総司さんの両親が保護した。


一さんが殺された次の日。
総司さんは一さんの亡骸に寄り添うように自殺した。

"許さない"

って書き残した紙を一つ残して。

何処か幸せそうだったんだって。
首を絞められて息が出来なくて、苦しんでもがいて力尽きて逝った一さんも。

苦しんで死んでいった一さんと同じ死に方をするって、
自分も紐できつく首を絞めて死んだ。
大好きな二人が大好きな相手と同じ死に方をした。

二人だから怖くないよ、って。
辛かったよね、もう大丈夫だよ、って。

そんな言葉をかけながら死んでいった総司さんの顔がほおら、見えるでしょう。
そうだよ、だって此処の近くにあったんだもん。
まだまだ此処にいるんだよ、総司さんと一さんは。



その後からだったかなあ。
暫くすると、一さんのお父さんが亡くなった。
不慮の事故。そう判定されたのだけれど。

本当は何でなんだろうねえ。
苦しんで死んでいった一さんと、その一さんを追って同じ死に方をした総司さんかな。

無念の死を、認められなかった愛の代償を払いにきたのかな。

その後、そこに住む人間は怪我や事故で亡くなっていったの。
あ、全員亡くなったわけじゃないの。
まあ、そうやって金に物言わせて偉そうにしてる人だけね。

あ、言い忘れてた。

金に物言わせて、っていうのは、
一さんのお父さん、一さんの死を自分の所為にしないために金を使ったの。
汚い大人ってこれだから嫌になるんだよ。


結局何が言いたかったかっていうとね。
此処、私達の学校のあるところは、昔々、一さんと総司さん、
報われない恋をした二人の無念と恨みの漂う土地なんだよ、ってこと。


ほら、聞こえるでしょ。感じるでしょ。


一さんと総司さんの泣き声と笑い声と、父親への恨みの想いが。











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