佐和山1

□闇
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「左近、今日は嫌な仕事だ」

から、と襖を開けた三成の後ろには、数人の男に押えられ小さく震える幼い姫。

「やはり…そうなりましたか」

賤ヶ岳の戦いで柴田勝家に勝利した秀吉は旧織田信長勢力をほぼ手中におさめた、しかし今だ各地で戦の炎は燻っており、反旗を翻す者も少なくなかった。それを防ぐ為に秀吉が取った方法は……

『妻子を大阪城に質として差し出す事』

そしてこの幼い姫は自分の父親に見捨てられ、今日処刑される。

「全く…何の為の質だ…」

男達に引摺られる様に歩く姫を横目で見ながら、三成は深い溜息をついた。






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