佐和山1

□なぁ、左近
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今日は幸村と兼続が佐和山に遊びに来ているので、ここは一つ季節の物を夕餉にと思い、左近の毛を引っ張った

これが一番早いのだ

「左近、夕餉に鱧が食べたいのだ」

「解りました、用意させましょう」

ふふ、ほら左近は俺の頼みは何でも聞いてくれる

「あ、でも駄目だったら鮒でいいですかね?」

馬鹿を言うな!!鮒なんぞ年中喰えるではないか!!
禿げてしまえとばかりに毛を引っ張ると『じゃあナマズじゃ駄目ですかーっ!!』と叫んだ

駄目だ!!鱧ったら鱧なのだ!!

その後、俺達は城下へ向かった
幸村は山国で育ったせいか湖が珍しいらしく、嬉しそうにはしゃいでいる
兼続は『義ーっ!!』とか叫びながら兎跳びの真最中だ

何がしたいんだあいつは

暫くすると良い匂いがしてきたので、匂いの元を確かめると鮎の塩焼きだった

美味そうだ…

「左近」

「なんです?」

「あそこで売ってる鮎の塩焼きが食べたいのだ」

左近は一瞬困った様な顔をして―…

「殿」

「ん?」

不意打ちだ、ずるいぞ左近!!
こんなまだ日も高いし、あの、えと、うんと
く…口を吸うなど…!!
あ、駄目だ、力が入らない
何か後ろで兼続が五月蠅い

さこん もっと

ぎゅってしてくれ





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