立海オール

□誓いの思い
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泣かないで、先輩たち。

俺、頑張るから。


もっともっと強くなって、来年は必ず優勝するから。



だから先輩たち、最後は笑って―――?











     *誓いの思い*










『ゲームセット!ウォンバイ青学!!』



あの日が

俺たちにとって、


先輩たちにとって、――最後の試合だった。






「みんなすまない。」


「え………」



部長が放った部室での一言。

「俺が負けなければ……」




幸村部長、謝らないで。


「たわけ!幸村のせいではない!!」

「そうだぜぃ!!幸村君のせいじゃねーよぃ!!!」

「おまんは何も悪いことはやっとらんぜよ」

「そうだぜ!俺がダブルスで取っとけば……!!」

「そんなん、俺だって……ジャッカルと最後の試合、――――勝ちたかっ………!!」



先輩の目から、涙がこぼれた。




丸井先輩―――



いつも俺と一緒にいて、自分勝手で、お菓子くれとか食うことばっかで、自分の事天才とか言っちゃって。



マジ変な先輩だけど


誰よりも部の事を考えてて、俺にとって




1番大好きな先輩――――



「っ………ブン太……」


ボロボロ涙こぼしちゃって。


ジャッカル先輩―――


いっつも俺のやったことで真田副部長にビンタされて、
俺のことかばってくれて


――1番お世話になった先輩。



「……すまない。俺のデータ不足で……」


柳先輩―――



俺がデビル化したら止めに入ってくれたり

データでチームを助けてくれて。
この人がいなかったら正直ここまで勝ち上がれたかわからなかったですよ?


「柳くんのせいではありません―――……みんな悪くありませんよ」


柳生先輩――――

俺たちがどう不利な状況でも

冷静に1番考えて行動出来る、…はは、俺も見習いたいもんッスね。



「俺たちは最後の試合に勝てなかった、……それだけじゃ」



仁王先輩――――



いつも丸井先輩と俺と3人でバカやって、ペテンに引っかかって。
真田副部長に追いかけ回されて、こんな毎日、イヤだって文句言ってたけど


ホントはスッゲー楽しかったッスよ?




「―――たわけ」




―――――………?


「泣くな!俺らは精一杯プレイした!悔いはない!!泣くとは―――ったるんどる……っ!」


真田副部長―――


制裁受けた時はスッゲー痛いし、ムカつくし、なんだこのオッサン、なんて思ってたけど

たまに見せる優しいトコとか、認められた時とか


ホント嬉しかったッスよ―――



「そうだな――俺らは悔いのない試合をしてきた。これで……終わりだ」


「………っ」

「幸村くっ……」


先輩たちが

泣いてる――

あの副部長でさえも





「泣かないで、下さいよ…」





「赤也………」


「俺、頑張りますから…っもっともっと強くなって、俺っ……!」


もう明日になったら、先輩たちは部活を引退して


部活に来なくなってしまう。

じゃあ、伝えなきゃ


今伝えなきゃ、もう伝えられないような気がする―――



「俺っ、俺っ―――「赤也。」


なかなか思いを伝えられない俺の耳に、幸村部長の声が響く。



「3連覇は出来なかったけど……俺たちの全国優勝の夢、………赤也に任せるよ――――」



そう言って、幸村部長は俺の肩に自分のジャージを羽織らせた。



「っ………ダメ、ッスよ……」

「?」

「引退しないで下さいよ……!俺、まだアンタに試合してもらってない…!まだアンタたちに勝ってないッスよ…!!」


「……うん、そうだね」



涙が溜まって、幸村部長の顔が滲んで見えない。



「でも、それはムリなお願いだな……だからさ、赤也」

「へ……?」



「俺たちの夢、叶えてくれないかい?それで、さ――――」




幸村部長が俺の耳の近くで囁く。



「っ………ゆき、むらぶちょ……」



「フフ、約束だからね?」


「っっ………」


俺は、まだ全然強くない。

だけど―――



「約束だからなっ!忘れんなよぃ?」

「頑張れよ!」


先輩たちの背中をずっと見てたんだ。
次は、俺の番だ――――


「お前なら出来るぞ、赤也」

「そうだ。自分に自信を持て」


先輩たち俺、絶対その約束 守ります。


「赤也なら大丈夫じゃ」

「ええ、待っていますよ」





だから、後1年

待っていて下さい。




「っ………絶対、持って行きますから…!約束ッス!!」





俺は今日、この晴れ渡った空に誓った。





「……うん、待ってるよ、赤也―――」













1年後―――








「先輩たち――――っ!!!」




「おっ、来たぜ」


「久しぶりだろぃ!」


「おっきなったのぅ」


「そうですね」


「――ふ、弦一郎……」


「うむ、そうだな。……幸村」



「あぁ、約束を守ってくれたようだね―――」






「俺、頑張ったッスよ!!!」








あの日誓った思い、約束。


俺、ちゃんと守りました――――






『俺たちの夢、叶えてくれないかい?それで、さ――――



  俺たちが手にしたかった優勝トロフィー持ってまた会おう――それが、俺たちの喜びだから――――』





金色の優勝トロフィー
(約束の証、ここに飾っとくッス―――)




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