リクエスト
□欠陥品
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普段なら家に帰省するクリスマス休暇。
今年は両親共に家を開けなくてはならなく、ルシウスはスリザリン寮で休暇を過ごすことになった。
普段より静かな廊下をルシウスは初めて一人で歩いた。
いつも彼の回りにはスリザリンの寮生が囲んでいるからだ。
ある者は自分勝手にルシウスを友人だと思い込み、ある者はマルフォイ″である彼にただ、近い関係でいたいがために―。
この短いながら、静かな一時をルシウスは(表にはださないが)楽しんでいた。
合言葉を告げ、寮内に入るとルシウスはすぐに暖炉前にあるソファーに腰かけた。
ふぅ…と一息ついて隣を見ると小さな黒い丸まった塊があることに気付いた。
誰かの忘れ物か…?
そう直感的に思ったルシウスは遠慮なく黒い布―スリザリンカラーのローブをめくり上げた。
「っ!まぶし…」
急に差し込んだ光に、小さく声をあげた黒い布の中にいた、これまた黒い彼にルシウスはあぁ…と声をこぼした。
「やぁ…君もいたんだね。セブルス」
優しげに声をかけられたセブルスは体をビクリと震わせた。
「……ど、どうして、マルフォイ先輩が?」
十分すぎる間をあけた後に、セブルスは小さな声をあげた。
「私かい?私は両親が家をあけていてね…。セブルスこそ、どうしたんだい?スリザリン生は全員家に帰るものだと思っていたよ」
「ぁ…僕は…家に帰っても、帰らなくても…」
徐々に小さくなっていく声は、ついに消えてしまい、セブルスは握りしめた自身の拳を見つめていた。