小説2
□ホワイトデー
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ホワイトデー
『ちょ、銀さん!なんで酢昆布入れようとしてんですかっ!!』
『いや、酢昆布アイツの好物じゃん?だから。あと、なんか面白そうだし〜』
『面白み求めんでいいわっ!!ああ!!ちょっとォ!!!』
ふと目が覚める。
ふわりとにおう甘い香り。
ガヤガヤと騒ぐ聞き慣れた声。
『…うるさいアル』
押し入れのマイルームで耳を塞ぐ。
相変わらず仲良しこよしアルな。
…砂吐きそうネ。
今日はホワイトデー。
きっと2人はお返しを作っているのだろう。なにせ、このかぶき町の女王神楽様が直々に毎年可哀想な銀髪天パと駄眼鏡にチョコをあげてやったアル。
めちゃくちゃうまいモンじゃねーと私は受け取り拒否ネ!!クーリングオフ不可アル!
『……ニシシ!』
でも、せっかく作ったんだし、うまくなくても貰ってやるヨ!
私はかぶき町1優しい女アル!
……しかもなんだか、胸があったかいネ!
だから許すアル!!
『…神楽ちゃーん、朝だよ〜』
あっまーい匂いを身にまといながら起こしに来たアルな。バレバレネ!
まーったくしょうがないアル!
『はいヨ〜』
しょうがないから起きてやるネ!
『定春も起きるアル!』
『アン!』
マイルームからのそりと出て、洗面所で顔を洗う。
『神楽ちゃん!はい!ホワイトデー!』
居間にやって来た私ににこりと笑う新八の手には、できたてのクッキー。
『僕と銀さんで作ったんだ!』
包みを開けてパクリ。
『……おいしいアル!!』
『ホント?良かった!』
ほっとしたように新八は笑った。
やっぱり新八の料理は地味だけど、あったかい味がするネ!
『…ほれ、さっさと朝飯食うぞー』
新八の後ろから銀ちゃんが、声をかける。
『はーい。神楽ちゃん、いこうか!』
『……新八、』
『ん?』
『…ありがとネ!!』
『うん!どういたしまして!』
にっこり!と音が出るくらい嬉しそうに笑いあった。
『ちょ、俺には!!?ソレ新八と一緒に作ったんだけどォ!!!?』
『…ケッ。銀ちゃんありがとネ』
『ちょォ!!!?神楽ちゃんンン!!?なに!?その態度の違い!!!酷くね!!?』
『うるさいネ。わたあめが!!!』
『なにこの仕打ちィィィ!!!!?』
今日も賑やかな万事屋。
…銀ちゃん、新八!
ありがとネ!!!
おわり。
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