□空回り相対理論
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「や…神崎さんッ!!」
「んーダイジョブダイジョブ。使い方くらい知ってるからさー」
「そうじゃ、なくて…っ!」



年下とはいえ仮にも男子のその、せ、せい、せ…性器、にその長い指を滑らせるなんてそんなこと、俺の方が耐えられない。


自分で言うのもどうかと思うが俺にとって今が一番艶めかしいというか、思春期真っ只中の時期だというのにそういうのは…っ!



「触るよ」
「っえ、あ、あッ!!」



さっきまで俺の身体を押さえ込んでいた左手がそれに触れた。

瞬間、身体がびくびくと跳ね上がる。


思春期というと当然そういうことに興味もあるわけで俺も例外ではなく、俺しか触れたことのないような部分に手をかけられたりなんてしたら嫌でも妙な気分になってしまったりして。



「…勃っちゃったね」
「う、」



たたた確かにそうなのだがそんな躊躇いもなく言われてしまうと恥ずかしくていっそ気付かないフリをしていて欲しかったりもしたり…!

こうなってしまうとギリギリだった尿意の方はすっと引いてしまい代わりに別の感覚が身体を染めていった。



「…優一くん」
「…な、なん、ですかっ…」
「イッておこうか、一回」
「……へ?」



え、イッ、ておく、というのは……え、と、つまりその、そういう、その…イク、という単語の変化系……え、ええ!?



「いいい、いやっ!!そそそそういうのはっ!!」
「嫌?」
「えっいっ嫌じゃないですけどそういうことじゃないで……っ!?」
「ならいいじゃない、優一くんも気持ちよくなりたいでしょ?」
「あ、やぁっ!?」



そこに触れていただけの指が、ただ添えているだけだった手が、彼女の意志で動き出す。

俺の、…射精を促すような、そのためだけに動いているような、そんな手つきについつい興奮してしまう。



「それとも、私じゃ役不足?」
「ん…んっ、そんな、こと……っ」



役不足も何も一番してもらいたい人と初体験をしているのだ、不足どころかお釣りが返ってくる。

けど問題はそういうことじゃなくて…!



「こ、こんなこと、神崎さんだって嫌じゃ……」
「別に、優一くん可愛いし。京介くんとだってしてるからねー」
「えっ…!?」



い、今なんて…京介と?

してる、って、まさかこういうことを…!?


自分のことでもないのに顔が熱くなった。

普通ならここで10も年下の弟に手を出した彼女を叱咤するのが兄の役目、なんだろう、けど。


考えども考えども、むしろ考えるほどに沸き上がってくるのは醜い嫉妬心ばかり。

俺の知らない間に神崎さんとどうにかなっていた京介に、心の底から嫉妬してしまうそんな自分が嫌いだ。



「…どーする?」
「…で、も…」
「優一くんの頼みならおねーさんいくらでも気持ちよくしてあげちゃうよー?」



冗談っぽく言い放ったその声音はいつもの彼女で、少しだけ安心した。

優しく笑っているはずなのにどこか意地悪な瞳にぞくりとしながらも小さく頷く。

すると彼女はさらに笑みを深くする。



「ん、それじゃあ、時間もないことだし、早急に気持ちよくなっちゃおっか」
「え、あっ!!だ、だめ、そんな…あぁっ!!」



くちゅりと分泌された液体をそれに擦り付けるような動きをする長い指にまた興奮した。

親指で先の方を擽るように撫で回したり、小指で睾丸部分を突いてきたり、残りの指で裏筋を擦られたりと彼女の手付きは慣れたもので。

こんなこと自体初めての俺には、残酷さすら感じるほどに、ひとつひとつの刺激が確実に快感に繋がっていく。


ここまで来れば、我慢なんてきかない。理性なんて残せない。



「神崎、さ…も、俺ぇ…っ!!」
「気持ちいい?いいよ、イって」
「だ、だめ…イクッ、あ、んぅ…!!」



ドクン。

身体中の血が、一斉に騒いだ。

吐き出されていくそれは、俺の欲望を形にするかのように神崎さんの腕にかかっていく。

恥ずかしい、けど止められないんだから仕方ない。



「あ、あ、あっ!」
「ん、違うのも出そう?」
「へ…?…っあ!出るっ!!ああっ!!」



素早く彼女が取り出してきた尿瓶の中へ尿が溜まっていく。

ああ、憧れの人にこんな醜態を晒してしまうなんて…!



「んっ、やっ、見ない…で…っ」
「そう言われると見たくなっちゃう」
「や、やだ…っ!」



勢いよく尿瓶に流れ込むその液体を手に俺の顔をじっと見つめてくる神崎さん。

は、排尿の音も聞かれて、…顔も、見られてるんだ。

だめだ恥ずかしい、早く止まってくれ…!!



「んっ、んーっ…!」
「いっぱい出るねー」
「言っちゃ、や…っ」
「ははっ、ごめんね」



止まらない止まらないと思っている内に遂にお腹の中に溜まった尿素が尽きていく感覚。

ああやっと終わった、と気を抜いた瞬間に強烈な眠気。

眠っちゃダメだと分かっているのに、身体は言うことをきかなくて。



「…お休み、かな?優一くん」



彼女のそんな声を虚ろに聞きながら、俺はゆっくりと意識を手放した。




 
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