長編

□番外編(中編)
1ページ/1ページ




驚き慌てて下着だけを上げて音のした方に目をやると、そこにはぽかんと立ち尽くす真紀さん。

その事実に、さっと血の気が引いた。


どうして。

帰った、はずなのに。


「あ…ッ」
「え、あ、拓人…くん?」
「やっ…い、いつ、から、」


ダメだ、嫌われた。

気持ち悪いって思われた。

こんな真っ昼間から自慰に浸って…しかも彼女の匂いをオカズにするなんて。


「え、い、いや、拓人くんが私のカーディガン持って、その…匂った、辺りから」


ああもう泣きたい。

ほぼ最初からじゃないか。

羞恥に耐えきれずぎゅっと目を瞑る。

何かの冗談だと言ってくれ…!


「…あ、その、…カーディガン忘れたのに気付いたから途中で引き返したんだけど、…ご、ごめん……」


真紀さんが謝ることなんて何もない、むしろ謝るのは俺の方だ。

彼女の私物で、こんな行為に至ってしまったのだから。


「…あのさ、さっき、…ぐ、ぐちょぐちょにして、…とか、」
「あ、あれはッ!!」


知られたくない。
自分でエッチなこと言って、興奮してしまうだなんて…!


「違っ…あの、違うんです…ッ!」
「…ぐちょぐちょ、に?」
「い、言わないで…!!」


そんな、何度も何度も確かめるみたいに繰り返さないでほしい。

確かに悪いのは俺だが、これ以上嫌われるようなこと言いたくないのに。


そんな俺の思いも知らず、真紀さんはゆっくりと俺に近付いてくる。


「…してほしいの?」
「う、あ、ちがっ、」
「…言って、正直に」


嫌だ、そんな甘い声出されたら、腰が砕けてしまう。

その声に敏感に反応して更にそそり立つ性器に早く手をつけたくて仕方ない、なんてこの状況でまで性感を求める自分が憎い。


「……あ、や、だ…っ!」
「…大丈夫、誰も聞いてないから。だから、私にどうしてほしいのか、言って?」
「……っ!」


そんなの、恥ずかしくて言えるはずがない。
なのに普段より熱っぽくてとろけそうな目を向けられて、嫌だなんて言えなくなる。

目の前に来た彼女から少し視線を俯かせると、いきなり顎を指先でくいっと押し上げられて唇を重ねられてしまった。


「っ!?あ、んーっ…ん、んッ…」


久々の甘いキスに身体が犯される。

気持ち、いい。

息や唾液が混ざるえっちい感覚にぞくぞくした。


「ん、ん〜ッ…」


もっと、もっと強く吸い付いて、しゃぶってほしい。
舌を吸って、歯裏を舐めて、口の中…いっぱい犯してほしい…!


「っは、もっと、真紀…んンッ」


ああダメだ、触ってほしい!
ぐちょぐちょって音たてて、俺の、扱いてほしい…!


「…っは、拓人くん」
「はっ…ぁ、…っ?」
「…言って、どこをどんな風にしてほしいのか」
「…っ!」


今日の真紀さんはなんだか意地悪だ。

俺があんなことしてたから、お仕置き…なのだろうか。


「あ、う…」
「ほら、…お願い」
「……お、俺の、ココを…っ」


そう言いながら彼女の手をとって自分の中心部へ押し当てる。
それから意を決して、口を開いた。


「…触って、ほしい…っ」


くちゅって音をたてて先走りを擦り付けて、なんてほど我が儘は言えないけど。


「いっぱい、イきたいっ!」


真紀さんの手で、イかせてほしい。

今までお預けだった分、たくさん…たくさん愛してほしい…!


「…りょーかい。ズボンと下着、脱いで」
「は、はいッ……」


我慢なんてできない。理性なんて保てない。

お仕置きでも構わないから、だから。

夢でしてくれてたみたいに、激しく抱いて。


「…愛してる、拓人」


その言葉にきゅん、と胸が高鳴ると同時に、再び彼女の唇が俺のそれと重なった。



 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ