イナズマ裏夢

□我慢できない!
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久遠監督から与えられた、まあうん押し付けられたとも言うマネージャー業が一段落つき、背伸びで身体中の筋肉をほぐしていると、こんこんと控えめなノック音がする。今は夜の11時。誰だ、早く寝なよ。こんな夜分遅くに予告のない訪問者とは珍しい。

「どうぞ」まあこの宿舎内にいるんだから怪しい人じゃないだろう。誰との確認もせず、部屋の出入口に向かってそう投げる。わたしの返事を受けてキィ、とノック音同様控えめに開いたドアから見えたのは、白銀にも似た、色素の薄い綺麗な髪の少年。不安そうに垂れ下がった眉も緊張を含んだ瞳も愛らしい。

「えっ…と、こんな時間にごめんね?」
「吹雪くん?いらっしゃい。どうしたの?」
「え、あっ…いや、その……」

言葉を濁らせた吹雪くんに疑問符が浮かぶ。言いにくいことなのだろうか。何かの相談?でもこんな夜中にわざわざ来ないよなあ。「まあ、とりあえず入ってよ。廊下、暑いでしょ」廊下で立ち止まったままの彼を部屋の中に招き入れて、私は書類をファイルに綴じてから向き直る。「で?どうしたの?」「そ、その…えっと」視線を俯かせてもごもごと言い淀む吹雪くんに、ああ、と思い当たる。

少し前にも彼はここに来たのだ。自分でするだけでは満足できないと、耳まで真っ赤にして吹雪くんは私を求めてきた。他人に施される愛撫と自らを慰めるそれとはまた違うものだと思っていたが、まあ私が一方的に施すだけの行為は後者に含まれているのかもしれない。

「……僕…我慢、できなくて……」足をもじもじと擦り合わせて、私の予想を裏切らない。震える声でそう告げる吹雪くんは、その瞳を情欲に濡らす。私は構わないのだが、どんどん頻度が高くなってきていないか。それとも今日は欲求を抑えられなくなるような何かがあったのだろうか。なんて、わたしが知る必要はないか。

彼の細っこい腕をベッドに引き倒す。小さな悲鳴を漏らす吹雪くんに跨がり、その細っこい腰を撫でる。「っ、ふ……」そっと服の裾から手を差し込みその肌をまさぐる。服が捲れ上がり白い肌が露出して、ぷっくりとその欲求を主張してくる突起物が露わになる。

要求通りに、擦るように左右に捏ね回す。「ん…は、ぁ…く、う……」吹雪くんの声が甘くなってくる。きゅっと摘まむと、ひゅっと息を吸うような短い喘ぎとともに、その身体がびくんと跳ねた。随分敏感になったなあ。しばらく擽るようにその突起を弄くっていると、吹雪くんはもどかしそうに身動ぎをしながら、内股に閉じた足をもじもじと動かす。

「…なぁに?まだここしか触ってないんだけど」だって、と強請るように吐き出して、熱い吐息をこぼす。乳首捏ねるの、そんなに弱かったっけ。しばらくその反応を確かめるように両方の突起を強く捏ねていると、吹雪くんは荒い息に乗せて、次を求めてくる。「お願い由岐さんっ、した、も…さ、触って…っ」した、ねえ。「したってどこ?ここ?」身体を捻り後ろ手に彼の下着に手を忍ばせる。太腿を撫でて問えば、吹雪くんはうう、とこもった声で私に縋る。

「ひ、ぁっ…ん、そこ、じゃなくてっ…!」
「どこ?」
「う…わ、分かって、聞いてるの?」
「さあね」
「…っ、その…ぼ、僕、の……」
「うん」

彼の意味もなく開閉される唇から、次に紡ぎ出されるであろう卑猥な単語を待つ、けれど。「……いっ…言えない…よぉ…」恥ずかしがるポイントが分からない。言えるでしょ、と前のめりになって彼との距離を詰める。「僕のえっちなおちんちん触ってくださいって、ほら、言ってみなよ」驚きか羞恥か、吹雪くんの身体がびくんと跳ね上がる。我ながら頭の悪い字面だ。

せっかく私が文章まで考えたのに吹雪くんは唇を引き結んで黙り込む。別に私はここでやめて吹雪くんが1人自分を慰める様を見ていてもいいんだけど。まあ見なくてもいいんだけど。「おしまいにする?」深い海の瞳が揺らぐ。腰骨、から足の付け根を撫でて答えを急かす。「っ、ぼ、ぼくのっ」早く、とその意図が伝わったのか吹雪くんは切羽詰まった声でそれをはじめる。「え、えっちに、なってる…お、おちん…ちん、さ、触って、ください……っ」なんか私の手本より卑猥さ増してなかった?まあいいや。「よくできました」起き上がって吹雪くんの身体から降りる。そして可愛いおねだりの通り、熱の篭る服の中に割り込み彼の陰部に手をかけた。

「ひっ…ん、ふぁ…やぁ、」
「先っぽこちょこちょするの好きだね」
「ひぅっ、由岐さん、ふ、服、脱ぎたいよ…っ」
「ああ、我慢汁でぐちゃぐちゃになるもんね」
「そっ、そんな、こと……」
「え?もうなってるけど。音聞こえない?ぬちゃぬちゃって」
「ひっ!?そっ、んなのだめっ、さっ、先っぽ、ぐりぐりするのっ、だめ…だめ、はっ、ぁ、あぁっ」
「あ、これも好き?それにしても今日随分敏感だよね、我慢してた?」
「だっ、だって!ひ…ひとりでしても、もやもや、してっ…由岐さんにされるの、気持ちいいんだ…どきどきして、ぶわっ、って、すごく、え…えっちな気分に、なって」
「…ふうん」

随分な誘い文句だ。えっちな気分になっているのはまあ私の右手の指に熱を擦り付けてくる我慢汁だらけのそれでよく分かるけど、私に組み敷かれて、こんな恥ずかしいところを触られながら、いま吹雪くんはどきどきしてるの?「へんたい、」でも私も、きみのその蕩けた表情を見ていると充足感が胸を占めるんだから、お互い様なのかもしれない。

「ん…ぁ、やあっ、」本当に体液でぐちゃぐちゃにされても困るので、服を取り去り指先で形だけをなぞっていたそれを外気に晒す。自由に動かせるようになった手で、硬度を持つ肉棒を上下に扱き上げ竿も亀頭も裏筋もカリ首も、先走りを塗りたくって音を立てる。「由岐、さんっ…あ、あの、」なあに、と視線で耳を傾ける。吹雪くんはぎゅうっと、胸の前で手を握り込んだ。「だっ…だきしめて、ほしい…っ」どんなおねだりだ。両手が自由に使えるわけじゃないんだぞ。

それでも目尻に涙を溜めながらわがままを繰り出した彼を甘やかしてあげたいのは本心だ。仕方がないので上半身だけ、斜めから貸し出して左腕でその肩を抱く。体重をかければ、吹雪くんの腕が私を閉じ込めた。「由岐さんっ…由岐さん、も、もう、で、出ちゃう、ぅっ」苦しいくらい力強く抱きしめられる。限界だと張り詰めたそこに与える刺激を強くして、厭らしく喘ぐ吹出口を彼のお腹に向ける。

「もう、い、イッ…く、あ、あ…ぁあっ」一際高く嬌声をあげて、足をビクつかせる。力の入った下半身と脈打つ性器に押し出され、尿道からどぷどぷと白濁が溢れてくる。吹雪くんの白い肌に卑猥な液体が流れ出ていく様をふと見ると、勢いよく飛んだらしいその塊がいくつか私の服にかかっていた。やべえ。

近くのティッシュに手を伸ばしそれらの処理をしていると、荒い息を整えながらときたま絶頂の余韻に浸る甘い声を出していた吹雪くんが由岐さん、とまだ整いきっていない息に乗せて私を呼ぶ。どうしたの、と視線を戻してくると、ぱっと私から目を背けた吹雪くんはその、と小さく始める。

「…ごめん、なさい」
「ん…?何が?」
「い、いろいろ…僕、1人で満足して…は、恥ずかしいことも、いっぱい、言っちゃったし…こ、こんなの、普通じゃない、よね?」
「まあ、世間一般には他人がオナニーの手伝いはしないよね」
「うっ、ご、ごめんなさい…」
「いいよ別に。恥ずかしい吹雪くんが見られるの、好きだよ」

そう言うと真っ赤な顔を両手で隠された。「だからちゃんと、恥ずかしがってる顔見せてよね」意外と骨ばったその手の甲をつつ、となぞり、熱い息の篭るであろうそこに、手のひら越しにキスを落とした。
 

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