イナズマ裏夢

□やめられない、止まらない。
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支えのなくなった身体が床へ落ちる。もぞもぞとわたしの腕の中でどうにか距離をとろうとするその腰を引き寄せわたしの身体にその存在を教えて貰えば、天馬くんはびくんと大きく跳ね上がって足に力を込める。反射なのか本能なのかそこに刺激を受けることを良しとしない彼の身体は頑なにわたしから離れたがるが、そんなことはもう構わない。わたしも腰を上げて、衣服にテント張りになるその箇所を、身体に擦り付けた。

「だ、だめっ由岐姉ちゃん!」突然の刺激にまだ快感よりも驚きと恐怖が勝るのか、天馬くんがわたしの肩を押し返す。だめ、というのは心の準備の話であると気が付いてしまったわたしは、彼の腰に回した腕にぐっと力を込め更に密着した部分を圧迫した。わたしを拒絶するその力が弱くなったので、今度こそその頭部をわたしの熱に埋める。背中と腰が、床に接した。

暫く身動ぎをしていた天馬くんだが、少し落ち着いたのか、身体の力が抜けて、その体重がゆっくりとわたしにのしかかる。「由岐姉ちゃん…俺、いま、すごく、どきどき、してて」うん、伝わるよ。恥ずかしくて、怖くて、緊張して、それから。「じゃあ少し、聞かせて」心の準備が必要なのだ。身体だけでなく、心を、欲求のまま委ねる、そんな準備。

「天馬くんは、ここが大きくなることは、気持ちいいことをする準備だって、知ってるんだよね」
「うっ…うん、でも本当に、最初からじゃなくて」
「うん、分かってるよ。キスしてるとき、わたしがちょっと触っちゃってたのかな。今は、気持ちいいことしたい気分?」
「…っ、そ…そう、かも」
「そっか。いつも、1人でするの?」
「えっ……あ、その……」
「うん」
「……す、する」
「ふふ、そうなんだ。…1人でするときの気分、思い出してきたかな。腰が揺れてる」
「あっ…!ご、ごめっ、」
「ううん、してていいよ。1人でしてるみたいに、ゆっくり、刺激して」

腰を撫でて、その動きを促す。一瞬強張った下半身を解すように撫で付けると、またやんわりと、勃起をしたそれがわたしの下腹部でごろごろと転がり始める。気が付かないふりを演じて、もう一方の手で彼の後頭部を撫でる。充足感なんて、一方的なそれで心を埋めながら。

「……っ」ふと、わたしの肌に込められる吐息が熱く深くなった。やっと落ち着いてくれたのかな。腰の揺らめきが大きくなって、足に力がこもってきた。左右に振れるだけだったそれが、上下に、前後に、丸く大きく動き出す。もう少し、かな。「っ、ぁ」小さく呻いた天馬くんの合図に、わたしの心臓が少し跳ねた。うん、そうだね、始めようか。

「天馬くん」驚かせないように優しく甘く柔く、名前を呼ぶ。温まってきた互いの身体に空気を割り込ませ、その表情を確認する。「ちゃんと、触ろうか」もう、わたしが何をしようとしているのか、これから何が起こるのか、なんとなく、分かっているのだろう。天馬くんの瞳が、期待に濡れた。

熱い空気を冷まさないよう、くるりと反転させた彼の身体を抱き込みながら一度、さっきまで密着していたその山の頂、その奥を愛撫するように撫でる。天馬くんはもぞ、とわたしの腕の中で少し、身体を縮めた。「自分で脱げる?」脱がしきるには少し手が届かないので、下着のゴムを遊ばせながらそう聞けば、うん、とそう吐息に混ぜた天馬くんが自らの肌を晒してくれる。ぴんと反り立つそこを、やっぱり、服の裾で隠しながら。

少し前屈みになってしまった彼の背中にまた熱を分ける。手を伸ばして、わたしの視界を邪魔するシャツの裾をぺらぺらと上下に捲り、ゆっくり時間をかけて、彼の手から、その布を引き抜いた。「ん…んっ、由岐姉、ちゃ」あまり観察するのも意地が悪いかと、まだ成長途中のその肉棒を中指で弾く。天馬くんはそれだけで甘い吐息を漏らし身体を捻ってくる。もう少し柔い刺激が必要かと、少し皺の寄ったシャツの裾から空いている側の手を差し込み、お腹や胸を撫でる。また揺れ始めた腰に応えるように、今度は親指も加えて、反り返ったその形を撫でるようになぞった。

「ぁ…はぁっ、んん…ぅ、っ」中指と親指の腹で、陰茎の前後の皮膚を擦る。身体と垂直に硬度を持つそれを確かめるように。「あっ…あぁ、き、気持ちいい…っ」身体を丸めるように更に前へ寄っていく彼の背中にひっついていく。あ、でも、腰を引かれると触りにくいな。ずるずる、と少し下腹部に力を入れてその腰を押し出す。天馬くんはされるがまま、腰を上げてわたしに凭れかかってくれた。

亀頭、と言うにはまだその境界が熟しきってはいないけれど、それでも竿から主張をしてくる先端を手のひらで包み込み左右に捏ねるように刺激する。「ふっ…ぅあ、そ、それっ、むずむずする……ッ」天馬くんは息を震わせ身体を捩った。それじゃあと今度は親指から中指までの指で竿を握り込みくにくにと捻り、その芯を解すように上下に動かす。「ん、ぁ、あ…」指に触れたからついでに胸の小さな突起物もぐにぐにと捏ね回す。天馬くんの吐息が熱を増した。

『むずむずする』刺激をときたま加えながら、一生懸命にわたしの指を受け入れ可愛らしく震えるそこを愛しむ。人差し指と中指で交互に掻くように裏筋を擦って、竿に被る窪みを押し上げてこちょこちょと擽ったり、ぷるん、と持ち上げては離してみたり。「ひッ…う、ぅうっ、もっと、もっとして、それ…き、きもち…いい…っ」お尻をびくびく震わせて感じてくれるものだから、ついつい指の動きが激しくなってしまう。ペットボトルのキャップを捻るように、赤くなるその先端部を逆手できゅっと擦ると、天馬くんはまた可愛らしく喘いだ。

ひくひくと、尿道口が開閉を始める。それを合図に亀頭への刺激を弱め竿を扱く。突然趣向の変わったその動きに、絶頂へ向けて身体の準備が始まったらしく天馬くんの口は先程よりも強く快感を漏らした。「あっ、ぁっだめっ出るっ!あぁっ、あ、あ、や、だ…っ」また腰が引けてくるから、隠されるそれを追いかけて、わたしの身体と指で天馬くんの腰を固定する。その振動が少し、伝わってきた。「あ……あぁ、もう出る、でるぅ…っあっあっ、あっ、〜〜ッ!!」どくどくどく。ぷつぷつと先に溢れ出た少量の白濁を押し上げるように勢いよく精液が吐出していく。尿道を擦りながらひり出る精子の感覚に堪らなくなったのか天馬くんはついに蹲りあっあっと甘い声を籠らせながら射精している。漏れ出ていく精子を促すように陰茎への刺激を続けていると、ふっと天馬くんの身体の力が抜けて、甘い声が余韻の吐息に変わっていった。

肩で息をしながらじんわりと肌を汗で濡らし、絶頂の余韻に浸る天馬くんの足の間からゆっくりと手を抜き後処理の準備をする。思いっきり床に射精してるんだけど大丈夫かなあこれバレないかなあ。「由岐、ねえ、ちゃ…」まだまだ息の整わないまま、天馬くんがくるりと上半身を反転して空を仰ぐ。交わった視線には、まだ少し、わたしへの愛欲が籠っていて。「ん、」誘われるがまま軽い口付けを落とす。床に飛び散る白濁を、大量のティッシュで拭き取りながら。

「ん…由岐姉ちゃん」
「いいよ、処理しておくね。息整えてて」
「そ…そのっ、お、俺っ、」
「天馬?由岐ちゃんそこにいるの?」
「っ、」「えっ!?あっ、う、うん!」
「そう、それじゃあお茶菓子持っていくわね」
「う、うん…!」
「いやいいよ秋ちゃん、わたしがそっちに行くよ。共有スペースで待ってて」
「そう?それじゃあ後でね」
「……ふふ、それじゃあまたね、天馬くん」

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