イナズマ裏夢

□きっと求めるのは
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「お前昨日風丸と部屋で何してたんだよ」

机を四角に拭く手が止まる。「え、」珍しく自主的にコミュニケーションをとろうとしてくれる不動くんの言葉を反芻。昨日。風丸くんと。部屋で。何だっけな。まあ、うん、風丸くん、声が我慢できないしなあ。「さあ…一昨日の試合の反省会じゃない?」嘘ではない。ただそれが口実だと分からないほど、わたしは無垢ではなかっただけのこと。他人事のように答えた意味に、不動くんが気付かないわけもないけれど。

眉をひそめた彼に気付かないふりをして、食堂の机を拭き終わった布切れを洗い直す。蛇口から落ちるそれが肌を刺すような季節になってきた。明日の当番は秋ちゃんだけど、素手だと肌が荒れちゃいそうだなあ。わたしはともかく、他のみんなに無理をして欲しくはないし、明日ゴム手袋でも買いに行こう。「不動くんも反省会する?」って、不動くんは試合に出てないんだけれども。

「…ああ」客席から見ていると、ベンチからじゃ見えないものもよく分かる。けれどもしかすると、ピッチでもそれが分かるように、鬼道くんや不動くんは俯瞰的な視点を身に付けているのかもしれない。サッカーに必要な技術って色々あるんだな、…………。え?「口実の方?」思わず濁していたはずの核心をぽろりと零してしまう。しまったと思う頃には不動くんはあまりに苦い顔をしていた。

「ご、ごめん」
「…チッ、もういい」
「ご、ごめんってば!え、えっと…じゃあ、わたしの部屋で、待ってて」
「…………」
「ふ、不動くん」
「…部屋だな」
「え?あっ…う、うん!」

台所の布類を持ち、なるべく急いで洗濯機に向かう。不動くんのあれは、そういう意味で間違いないのだろうか。昨日風丸くんと事に及んだのは本当に、反省会というか、試合の勉強会をした後だった。それも11時を回った頃の話だ。あの苦い顔の意味は、今更聞けない。わたしに与えられた部屋から漏れる明かりに、少し器官の空気が濁った気がした。

扉を開けたその向こうには、不機嫌を気取る不動くんがベッドに腰掛けて足を組んでいた。「…いいの?」不動くんは答えない。目も合わない。それを肯定だと解釈するには、性急すぎるだろうか。「…触っていい?」彼の身体が少し強張る。ああ、これは、多分、もう。

彼の身体をベッドに倒し服の裾から手を差し込む。「っ、ふ」冷たいだろうか、不動くんが筋肉を戦慄かせる。じゃあきみの体温を分けてよ、わたしもずっと水仕事で寒いんだよね。暫く腹を弄り、じわじわと登る指先に、ざらりと土のような感触。胸元まで服を捲り上げ他の箇所へ柔く触れながら先程の感触を視認する。擦り傷らしきかさぶた。言ってくれれば包帯でもなんでも出すのに。まあ、今は後回しだ。「舐めるね」乳首にも、巻かなきゃいけなくなるかもしれないし。

べっとり、ねっとりと、鳩尾の辺りから胸板の溝に舌を這わす。左親指で胸の突起を弾きながら、キスマークにも満たない痛みを残していく。どんな意地の張り方なのか、荒くなってきた息を悟られないように不動くんは複式らしき呼吸をする。心臓のどきどきが響いてくるから一緒だよ。そんなことより、快感に集中して欲しいんだけどな。「今更だよ、不動くん」右胸の乳頭に吸い付くと、大人しく引き下がってくれた。

「〜〜っ…」唇を震わせ引き結びながら声を漏らすまいと耐えるのは昨日の反面教師がいるからだろうか。それにしても胸への愛撫に随分と敏感に反応を示す。指で弾いて、捏ねて、捻って弄って、引っ掻いて、それらの傷を包むように吸い付く。何度も繰り返していると、不意に身体を捩られた。「響いて、きた?」身体の中心、その奥の骨に触れるように肌を撫で付ける。いつの間にか、彼の頬は真っ赤だった。

懲りずに乳首を捏ね回していると、本格的にストップがかかる。「腫れるからやめろ」とのことだ。ふうん。「腫れるまで弄ったことがあるんだ」いい事を聞いた。うっかり口を滑らせた当人はなんとも言えぬ複雑な表情で羞恥を噛んでいる。それじゃあと、最後に舌の腹でその突起を舐め上げ唇だけで吸い付く。生温いそれだけでは物足りないのか、物欲しげに唇を噛む不動くんからは、色を見せそうな程の熱が漏れていた。

胸だけの刺激で果たして、とは思っていたのだが。「勃ってる」膝の上から太もも、それからジャージの柔い布を押し上げ自らの熱を主張する恥部を撫で上げる。指先でその先端を啄むように咥えるように包み込んで左右にぐにぐにと、咀嚼。その光景をじっと見つめている、というよりは、視線のやり場をなくしてどうしようもなくなった不動くんをこっそり観察する。先端を三本の指で真上から少しきつめに絞ってこちょこちょ、が、1番気持ち良さそうな顔してるかなあ。それにしても、頑なに声を出さない。「気持ちいいって声、聞かせてよ」出させてみろよと、嘲笑された。

そう可愛いことを言われてしまっては、引き下がるわけにもいかない。ずるずると体重をかけていたベットから落ちて、彼の股間に顔を埋める。視覚で興奮を覚えるようなタイプじゃないと思う。どっちかというと、この、股間を弄られる音と感触。服の上から鈍い快感を得ながら、ゆっくりゆっくり溶かされる。多分、前戯が長い方が、好き。「かたい、ね」あと人の声も。鼻にかかったような自分の声も、内側から彼を責め立てているのかもしれない。ずるい、わたしにも聞かせてほしい。

あまり唾液で濡らさないように口の中を乾かして、服の上からそこへ唇を這わせる。今度こそと思った甘い声は、ひゅっと飲み込まれてしまった。空いた手で太ももを摩りながらがさごそと、わざと大きな音をたてる。不動くんの体温、心地が良いな。焦れったいのは好きかな。そのとき、とんとん、と、ベッドから降りている彼の足が床を叩いた。なんだか胸の内で靄のようなあつい空気が膨らんで、身体の内側に響く、くつくつと喉が煮えたような振動が頬を歪ませる。「な…に、わらっ、てんだ、よ」だって、つま先にまで籠る快感を我慢して、こっそりもぞもぞしている不動くんが、可愛いんだもん。

まだ焦れたままでいてほしくて、ズボンを下ろし、くっきり色が変わるほど先走りを漏らした下着の上から、局部を際立たせるように足の付け根を擦ったり、竿の付け根を唇で咥えてみたり。張った陰茎のせいでその形が露わになり、トランクスからはみ出そうになっている睾丸の皮を、その中身を転がすように擦ったり擽ったり。「ひっ…ぃ、あ、〜〜ッ」あ、やっと声出してくれた。おちんちんが前後にぴくんぴくんと、自分も早く愛でてほしいと主張を続けてくる。腰が浮いてきた。

このまま、絶頂間近の性感を保たせたまま、最後のトドメをさす、つもりだけど、そういえばかちかちに膨らんだ肉棒はまだ下着の中。脱がせている間に呆気なく、なんてのは勿体ない。あーあ、洗濯機回すの、後回しにすればよかった。「んっひぃ!?待ぁっ、あっあっ、あぁっ、」蒸れたトランクスに手を差し込み、きゅっと固めた指先でおちんちんを握って上下にしこしこ。親指がちょうど裏筋から皮を引っ張ってくる位置にある。やっぱり不動くん、喘ぎ声あげるの好きでしょ。「んぁあっいっイク、い、く、〜〜っ!!」膝ががくがくと震えて、腰がびっくん、と、跳ね上がった。天井に向く硬い肉棒が、それに合わせて突き上げられる。その先端からはどろどろの、なんとも形容し難い粘度の白濁が溢れ出る。竿に伝って落ちてきたり、トランクスに収まりきらず、鯨が潮を吹くように勢いよく吐出されたり。なんにせよ不動くんの精子をたっぷり含んだ濃厚な精液はきっかり3秒、衰えなく放出された。

好奇心で、下着から滲み出た濃厚精子を舌で味わう。あ、ちょっと喉にツンとくるかも。不動くんお疲れなんだね。はあはあと肩で息をする放心状態の雄を頼るわけにもいかないかと、精液がどろどろにこびりついたその下着をひっぺがし、大量のティッシュで彼の竿から玉から太ももから、満遍なく飛んだ精子を拭き取る。こんなに出してくれるなんて、ちょっと嬉しい。しかし出した当人は、その精液の量に比例する性的興奮を覚えた自らに自己嫌悪を起こしているのか、足をばたつかせて早く退けとわたしの腕を蹴る。うん、恥ずかしいのはね、まあ分からなくはないよ。あんなに理性ぶっ飛ばして喘いだら顔も合わせらんないよね。「気持ちいい声、ごちそうさま」今度こそありったけの力で肩を蹴られた。
 

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