イナズマ裏夢
□素直なのはよいことです
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ピンポンピンポンピンポンと、何度も何度も玄関のチャイムを鳴らされる。
近所迷惑だよ一体誰だと浮かない気分でモニターを除くと、そこには見知った中学生の姿。
随分と焦っているようにも見える、が…。
「由岐さんっ!!」
「な、何っ?どうしたの?」
なんだどうした海士くん、私みたいな変態にでも追われたか。大丈夫か。
そうだとしたら逃げ込む場所が間違ってる。
「だ、大丈……」
「勉強教えてくださいっ!!」
「……はい?」
え、勉強?っていうか普通本題をモニター越しに言う?
「お願いしますっ!!」
玄関先でほぼ45度の角度でお辞儀をした海士くんに内心感心しながらも、奥に見えた道行く人の視線が痛いことに気付き、私は全速力で玄関へ走った。
「いやー、困ってたんですよっ!なんかこの間のテストで、いつも同じくらいの点数だった倉間がいきなり良い点とって…!」
ああそういえば、倉間くんに勉強教えたんだった。
うん、そのテスト期間にはショタっ子との絡みエピソードが色々あった。天国だった。
「で、なんでまた私?いや嬉しいけどさ」
「由岐さんならそー言ってくれると思ったからっすよ!」
無邪気に愛らしく笑う海士くんにキュンキュンします何この子可愛い!
私を一番に頼ってくれるなんて…!
どこやらのツンデレショタ達とは違って素直!涙出るくらい素直!かわいい!!
そりゃツンデレショタも大好きだよでも無邪気ショタっ子はまた別の魅力があるといいますか……!
「…由岐さん?」
「はっ、ごめんごめん、トリップしてた!勉強ね!了解!」
きょとんと首を傾けた彼に私の無実を証明しながら頷く。
そりゃあ私が変態だなんてもう周知の事実なんだけど!
「で、どこら辺が分からないの?」
「…正直言っていい?」
「うん」
「どこが分かんないのか分かんないレベル」
「…了解」
これはまた、大変な仕事を引き受けてしまったようである。
これで張り合ってたってことは、倉間くんも相当な際にいたんだね、うん。
「…お、全問正解」
「えっマジで!やった!」
勉強を初めて一時間半、私は今海士くんの要領の良さに驚いている。
ちょっとの指導でここまでやってのけるとは、なんだ天才か。
だが逆にここまで出来るのにどうして今まで成績が悪かったのかって考えたら、彼の普段の生活態度が目に見えた。
「…授業中、寝てるでしょ」
「うっ…」
「教科書に落書きとかして遊んでるでしょ」
「ううっ…!」
…図星か。
まあ部活で忙しいのも、分からないわけじゃない。
私が小さくため息をつくと、海士くんは慌てて別の教科書を開き始めた。
「あっ、由岐さん!こっちは?」
「…もう」
誤魔化すのは下手なんだなあとか思いながら、彼が指した問題に目をやる。
なんだ最近の中学生は化学反応式とか苦手なのか。
「ああ、これは――…」
と、海士くんを見た瞬間、唇に柔らかい感触。
軽いものだったから、すぐに離れたけれども。
「…え、」
「…へへ、スキあり?」
うわかわいいかわいいかわいすぎるなんだこの子。
いや疑問形にされても、なんて言葉はどこかへ吹っ飛んだ。私の頭の答えは一卓。
「…じゃあ、私も」
そう言って、さっきのキスじゃ比にならないくらいの深い濃厚なキスを仕掛ける。
舌を入れると、彼もたどたどしくそれに答えてきてくれた。
「んっ…ん、ふっ……」
「…っ、はっ…」
口を離すと、彼の蒸気した頬、口端に落ちる唾液、生理的な涙に潤んだ瞳が目に入る。
ああ無理我慢できない。ごめんなさい。
「…期待してたの?」
「っん…そう、かも」
うん仕方ないよね、誘ってきたのは海士くんなんだもんね。
そう自分に言い聞かせ、私は彼の両腕を片手で拘束して壁に押し付けた。